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グッチ、カーボン・ニュートラル化を推進−途上国の森林保全支援し、温室効果ガス排出量を相殺

By Kristopher Fraser

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ラグジュアリーブランドのグッチ(GUCCI)は、事業における環境負荷低減に向けた長期的かつ新たな取り組みを展開する。同社は、途上国をはじめとする世界の森林減少対策「REDDプラス活動※」の中で優先度の高い4つのプロジェクトを推進することで、同社のサプライチェーン全体の年間温室効果ガス排出量をオフセット(相殺)していく。高級ファッション業界で初の取り組みで、これによりグッチは温室効果ガスの排出総量の埋め合わせを行い、カーボン・ニュートラル化を図る。

グッチはここ数年サステナビリティ戦略を推進しており、今回発表したカーボン・ニュートラル化についても気候変動への緊急対策の必要性を受けて着手を決定した。同社は事業活動全体における温室効果ガス排出量削減策の包括的アプローチとして温室効果ガスの「排出抑制」「排出量削減」「回復」「オフセット」の4つの階層別の取り組みを推進している。こうした中、新たな環境対策の筋道としてカーボン・ニュートラル化の実現に踏み切り、責任ある事業経営やサプライチェーン全体での取り組みの必要性を社会にアピールした。

こうした環境活動には透明性も確保され、従来通り環境損益計算書の開示を通じて活動による効果の測定と管理を行っていく。グッチは2015年に実施されたサステナビリティ10年戦略の一環として他社を率先してサステナビリティ活動の進展度合いの指標である環境損益計算書を導入。さらに2015年の環境損益計算書の結果数値に基づき、「温室効果ガス排出量を50%削減」を含み、2025年を達成目標年とするいくつかの数値目標を策定した。直近(2018年)の結果では全サプライチェーンにおけるカーボンフットが2015年から対成長率で16%削減しており、25年までの目標達成に向けて順調な滑り出しを見せている。また温室効果ガスの排出量も16%の削減を達成し、グッチ全体のカーボンフットプリントの35%に止まっている。ここで注目したいのは、こうした温室効果ガスの大半(約9割)がサプライチェーンから排出されているという点だ。これは高級ファッションブランド全体の共通課題で、グッチは近年環境目標の達成に励む中ここにもメスを入れた形となる。カーボン・ニュートラル化を通じグッチは温室効果ガスの排出抑制や排出量の削減を2025年の目標達成に向けた優先課題として取り組むとともに、自社の取り組みでは対応しきれない部分を把握し、積極的に対応していく。

カーボン・ニュートラル化の初期段階としてすでにグッチは「環境負荷が低くサステナブルな代替素材への切り替え」「原料調達におけるサステナビリティの向上」「サプライチェーン全体での環境負荷の抑制・削減に向けた生産効率の改善」などに取り組んでいる。成果も出始めており、2018年には約44万125トンのCO2の排出が抑制された。グッチは今後も自社内での取り組みを継続するとともに、世界の重要な生態系の保全や再生活動の支援を通じてサプライチェーン全体での最終的な温室効果ガスの年間排出量をオフセット(相殺)していくとしている。

※2005年に開催された第11回気候変動枠組み条約締約国会議(COP11)で提案されたREDD(Reducing Emissions from Deforestation and forest Degradation in developing countries、温室効果ガスの排出を、途上国の森林の減少や劣化を抑制することによって削減しようとする取り組み)をさらに発展させ、森林保全や植林事業の推進を通じて、炭素貯蔵量を増加させていくとした仕組み。2009年のCOP15(コペンハーゲン)で枠組みを推進していくことの合意が得られた。

グッチ