Z世代が惹かれる“本物志向”の生デニム　日本発クラフトが象徴する新トレンド

伝統の継承という形で、生デニムが再び注目を集めている。その中心にいるのは、率直さ、本物であること、そして自己表現への渇望に導かれたZ世代である。

現代の複合的な危機を背景に、特定のブランドに固執しない若い世代は、早いトレンドサイクルに異を唱え、マーケティング戦略に惑わされることなく、何を守り、投資する価値があるのかを慎重に見極めている。ノスタルジックで時代を超越し、フィルターのかかっていないルックが共感を呼んでいるが、これらはすべて、生デニムが50年代のワークウェアとしての起源から、70年代、80年代のサブカルチャー主導のルネサンス期を通じて提供してきた価値そのものである。2000年代は、生デニムが文化的ピークを迎えた直近の時代であり、APC、Iron Heart、Nudie Jeansといった生デニムブランドの台頭に後押しされ、人気の高い「メイド・イン・ジャパン」や「メイド・イン・USA」のラベルとともに、確固たる幅広い支持を得た。しかし、2000年代半ばから後半にかけてアスレジャーや快適性を重視するトレンドが急速に広まったことで、履き込むことで味が出る伝統的なデニムは、一部の熱心なコミュニティだけのものとなっていた。

しかし、今、状況は変わった。履き込むことで体に馴染むデニムの本来の特性が、Z世代の消費者の文化的感性と完璧に合致しているのだ。デニム愛好家や従来のファンに加わり、彼らは素材とシルエットの正直さを選んでいる。Z世代が主導するオーバーサイズでワイドレッグのシェイプが成長を牽引している。最近では、デニムに快適性を取り入れる動きが活発化していた。例えば、レンチング社がセルロース繊維EcoVeroで市場に参入し、ラウンジウェアに適したドレープ性を実現したことや、ライクラ社のFitSenseのようなバイオベースのエラスタン開発が急速に進んだことが挙げられる。しかし、Z世代のオーバーサイズで裾が溜まるような、スタッカブルなシルエットへの嗜好は、構造的でコンパクトな質感を求めている。そしてデニム市場は、より幅広い種類の丈夫な繊維でそれに応えている。比較的新しいリネンやヘンプの混紡は、こうした丈夫で耐久性のある品質を実現するため、コットン生地の選択肢を広げている。Marmara Hempなどが開発した、コットンと同様の方法で紡績できる加工ヘンプ繊維である「Cottonized hemp」は、コットンへの依存というプレッシャーを軽減しつつ、信頼性の高いコットンの風合いを実現する。先に挙げたレンチンググループでさえ、コットンデニムの本格的な外観と質感を再現するために開発された新繊維、Tencel Lyocell HV100を発表した。

インクのように濃く、ドライな手触りの品質といえば、すぐに日本のデニムが思い浮かぶ。生デニムの発祥地は日本ではないが、デニム織りの技術がラグジュアリーな芸術の域にまで高められたのは日本であった。1970年代に米国が自動化された合成繊維混紡の大量生産に移行する一方で、日本のメーカーは米国のヴィンテージシャトル織機を輸入し始めたのだ。今日、Taiga TakahashiやKapitalといったデニムブランドは、アメリカのヴィンテージワークウェアの精神と、日本の深く根付いたデニムのノウハウとの対話を生み出している。そして、限定生産のシャトル織機によるヴィンテージカットの品質を通じて、「本物」の感覚を若い消費者にアピールしている。このような希少性とクラフトへの揺るぎない献身は、「隠れた逸品」を発見することに喜びを感じるZ世代の消費者にとって大きな魅力となっている。

また、ラグジュアリーブランドが注目し始めると、そのムーブメントが本物であることがわかる。最近の春夏シーズンのランウェイで、ジバンシィからジル・サンダーまで、未加工で構築的なデニムルックが見られたことは、透明性と信頼性を重視して育ち、これまでの憧れのブランドに自分たちの姿を投影できずにいた若い世代にアピールするための、ラグジュアリーを「人間味のあるもの」にする試みと解釈できる。

そして、この方向性をさらに推し進めないのはZ世代のスタイルではないだろう。デニムブランドのThe Naked and Famousは、40オンスの未防縮加工セルビッジデニムという超ヘビーな製品を投入することで、規範を覆す魅力を真正面から捉えている。この超ヘビー級ジーンズは、大衆的な快適さを追求するものではない。時間と素材の職人技への投資を通じて、非主流のステートメントを発信するためのものである。希少で極端なものは、他者との差別化を図る手段となるのだ。

さらに、オリジナルの深いインディゴウォッシュには、匿名性と所有権という魅力がある。ジーンズを自分だけのものにするという考え方が、Z世代をこの分野に引きつけているのだ。加工されすぎた色落ちがもたらす即時的な満足感とは対照的に、次世代のテイストメーカーは、時間をかけて独自のパーソナライズされた着用感と、ライフストーリーを物語る跡が生まれるルックに投資価値を見出している。プロセスを重視するコンテンツを好み、TikTokは生デニムの挑戦を記録し、色落ちの進捗を共有するためのプラットフォームとして急速に普及している。

これは時流にも合っている。未洗いの仕上げで、加工を抑えた天然インディゴ染料は、ZDHCの「Progressive Level」排水基準のような、今後導入される法規制や要件と一致している。これらの規制は、有害化学物質に依存した過剰な加工仕上げを段階的に廃止し、よりクリーンで最小限の加工を奨励するものである。大手小売りのターゲットでさえ、積極的に対応している。同社の2025年サステナビリティ・ガバナンス報告書では、デニムのホワイトウォッシュ効果に一般的に使用される有害化学物質である過マンガン酸カリウム（PP）の排除が明記されている。

規制がドライデニムの価値を後押しする一方で、次に何が来るかを示す最も明確な兆候は、究極的にはイノベーションである。そしてそれは、デニム業界が常に最も得意としてきた分野でもある。G-StarのAnatomic Denimは、人間工学に基づき再構築されたカットを通じて、象徴的な伝統の品質を再解釈している。これにより、純粋な繊維混紡を損なうことなく、透明性のある方法で快適さを提供する。一方、ステラ・マッカートニーの2026年春夏コレクションでデビューしたPure.Techの空気清浄技術は、デニムの可能性を押し広げるものだ。これらの開発は一見共通点がないように見えるかもしれないが、どちらも既存のサプライチェーンを抜本的に見直したり、ドライデニムの既存の製造工程に複雑な新プロセスを組み込んだりすることなく、先見性のある実用性をデニムに統合している。サステイナビリティと自己表現の両方に精通した世代であるZ世代にとって、これは生デニムの未来が真に目的意識を持ち、進歩的であり続けられることの証明となる。