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高級ファッションレンタルの誤算 米「アルマリウム」閉店へ

By Don-Alvin Adegeest

2020年3月20日

米国の「アルマリウム(Armarium)」が運営する高級ファッションアイテムのレンタルサイトが閉鎖となった。 同社は2016年に創設され、ニューヨークを拠点にサイトを運営していたが、3月7日を持って業務を終了した。

過密するレンタルサービス市場において「アルマリウム」は独自のコンセプトで競合との差別化を図ってきた。高額消費者層へのリーチを狙い、ロンドンの「ブラウンズ・ファッション(Browns Fashion)」やパリの「ル・ボン・マルシェ(Le Bon Marché)」など実店舗を持つ老舗の小売と戦略的パートナーを展開したほか、ニューヨーク州の高級リゾート地ハンプトンズやフロリダ州のアートフェスティバル「アート・バーゼル・マイアミビーチ(Art Basel Miami)」、アカデミー賞シーズンのロサンゼルスで夏季限定ポップアップストアを開設するなど贅沢なロケーションでのイベント主催も行っていた。

またサステナビリティへの取り組みの一環として、倫理的に供給されたファッションアイテムを専門に扱うECサイト「メゾン・ド・モード(Maison de Mode)」とタイアップし、イベント会場のデザインを同社に依頼するなどしていた。

今後3年間で19億ドルに拡大すると期待されるレンタル市場の中で十分な経験を持ち事業に乗り出した「アルマリウム」であったが、「トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)」や 国際ベンチャー投資グループの「C ベンチャーズファンド(C Ventures Fund)」などから調達した5百万ドルの資金は事業の持続運営には十分とは言えなかった模様だ。

やがて「アルマリウム」は自らを「オムニチャネル型のラグジュアリーファッション販売プラットフォーム」と呼び、「ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)」 や「ミッソーニ(Missoni )」をはじめとするハイエンドのブランドの新作ドレスやアクセサリーなどを取り揃え、プロフェッショナル・スタイリングやVIPサービスも提供し、サイト運営を開始した。

敗因はどこに?

ブランド品の購入に比べ安い価格帯は魅力的であったが、「アルマリウム」のビジネスモデルには問題点もあった。イベント出席用に手頃な高級品レンタルを利用するという客層は、そもそもハイレベルなプロのスタイリストに対するニーズが少ない。またサービス購入ページを含めサイト全体で英の「ネッタポルテ(Net-a-Porter )」のような高級オンラインセレクトショップのストーリー性のあるサイトデザインを目指したが、写真やコンテンツのクオリティがハイセンスなウェブサイトには不釣り合いであった。さらにオムニチャンネル・ビジネスを成功させるためのグローバル事業展開やエクスクルーシブなイベントの主催を通じたプレゼンス獲得といった施策には多大な投資や戦略、マーケティング活動が必要とされた。

ファッションブログ「ザ・ビジネス・オブ・ファッション(the Business of Fashion)」によると、「アルマリウム」は海外発送やクリーニング、レンタル品の返却配送などのサービス運営コストがかさんでいたという。 加えて、サービスの再利用率は高かったが、利用者の大半はパーティー用のドレスレンタルが中心でアップセル(高価格帯商品の利用)もあまりなかったことから、平均取引単価が伸び悩んでいた。

Images via Armarium