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ポスト・ロックダウンのラグジュアリー市場展望

By Don-Alvin Adegeest

2020年11月24日

ビジネス

今年4月、新型コロナウイルス感染症パンデミックの発生に伴う世界各地でのロックダウン(都市封鎖)を受け、市場アナリストや専門家達はファッション&ラグジュアリー業界の新しい時代の到来を警告した。

それから9カ月後、再び感染が拡大する英国をはじめヨーロッパ全体で二回目のロックダウンが始まり小売店が閉鎖に追い込まれる中、ほぼすべてのファッション&ラグジュアリーブランド企業のトップマネジメントはコロナ前の日常に戻ることは難しいと考えていることが大手コンサルティング会社「マッキンゼー(McKinsey)」の調査で分かった。

ファッションおよびラグジュアリー業界の企業を対象に今後1年間の業績見通しについて尋ねたグローバル調査では、多くの企業が「業績が悪化する市場」として北米(47%)とヨーロッパ(41%)を挙げ、アジア(36%)と比べて厳しい見通しを示した。これらの結果は各社の2019年の堅調な業績とは対照的に聞こえるが、主流のファッション市場はさらに厳しさを増している。

一つ確かなのは、欧米を訪問するアジアからの旅行者が皆無な現状において、渡航規制の動向が市場の回復に大きく影響するということであろう。

回復シナリオはラグジュアリーブランドにとって必要不可欠であり、マッキンゼーは企業が危機を強くなって脱するために重要ないくつかのテーマを提案している。これには、「さまざまな市場や言語に対応したEC機能」「異なる国や地域の需要の充足」「すべての製品のオンライン展開」といった、ファッション&ラグジュアリー企業がどれだけデジタルポテンシャルを最大限に発揮できたかに対する評価が含まれる。

## 中国展開を加速せよ 売上水準がパンデミック前に近づいている中国のファッション&高級品市場においては、顧客がいま何に支出し、市場のどこに存在しているのかを注視することが今後の業績回復の鍵となる。しかし一方で、ラグジュアリー企業が中国での事業を成功させるためには別の戦略も求められる。中国の高級品市場情報を専門とするオンラインメディア「Jing Daily(精日伝媒)」によると、中国に進出しているブランドの多くは「明確なブランドストーリーを持っておらず、代わりにカテゴリー的なポジショニングで自らを定義している」とし、「ストーリーテリング上の損失がカスタマー・ジャーニーにおける損失、価格設定のミスと組み合わさると、パフォーマンスが大幅に低下し、事業の失敗につながる」と指摘する。

ブランドコンサルティング会社「エクイテ( Équité)」が行った調査では、対象となったラグジュアリーブランド企業の90%以上が洗練された中国の若年層の顧客に対し自社ブランド訴求を行う最良の方法についてはっきりと分からないと回答している。中国では、高級品を買い求める消費者のうち20〜25歳の女性が70%を占めている。

適切な製品導入

昨今の「カジュアル化」&「控えめラグジュアリーアイテム」のように、同じブランドの中でも他の製品カテゴリに比べて好調なカテゴリがある。変化し続けるトレンドを理解し、消費者から支持されるカテゴリにいち早く方針転換できるブランドが勝ち組であることは間違いない。

####ローカル志向

ローカルの顧客の活性化と維持は、act locally, think globally(グローバル規模で考えローカル単位で行動する)なラグジュアリー企業としての認知を獲得する上で重要だ。これはまた、店舗ネットワークやサービスモデルを再評価し、どの国のECサイトや店舗であっても一度店内に足を踏み入れた瞬間から最高レベルのパーソナライズなサービスを期待する顧客の要望に対応する体制を構築することにもつながる。

#####今後のラグジュアリー市場展望

ヨーロッパ全土で再びロックダウンが展開されているにも関わらず、ロックダウン中のすべての国において製造活動が継続されており、生産停止もない。ケリング(Kering)やLVMHのようなラグジュアリーブランド大手は第3四半期業績も良好で、高級品に対する消費者需要が依然として高いことがうかがえる。株価も今年2月と3月の大幅下落から回復しており、12月のまだクリスマス商戦に間に合う時期にロックダウン制限が解除されれば、業績は安定し続けると見られている。

記事出典元: McKinsey 画像提供:Bottega Veneta