メタバースはいかに小売・消費財業界に変化をもたらすか
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米コンサルティング大手のPwCは小売や消費財業界に対するメタバースの影響について分析を行った。2020年現在で480億米ドルとされるメタバース関連技術の市場規模は、今後5年間に年成長率43%で成長すると期待されている。
こうした新しいバーチャルな世界に、小売業界や製造業界も関心を示し初めている。メタバースでのファッションショーは登場して久しいが、ほかにも、デジタル版のみで展開されるコレクション、消費者が服や家具などの商品をバーチャルに試着したり自分の部屋に置いたりするサービスも出ている。
これを背景に、PwCは同社が発行した白書において、メタバースの企業に対する機会・リスク・要件について、特に小売と消費財業界に焦点を当てて分析を行った。
メタバースに加え、さまざまなVR(仮想現実)技術も開発が進み、昨年の売上高は約360億米ドルに達した。
ファッション、高級品業界の売上の影響は+500億米ドル
メタバースはそれ自体でも企業の売上増大に貢献する。米投資銀行のモルガン・スタンレーは、ファッション業界や高級品業界に対するメタバースの売上に対する影響は2030年までに500億米ドル増となると資産している。
PwCドイツのスザーン・アーノルディ(Susanne Arnoldy)パートナー兼ドイツデジタル部門アドバイザリーおよびEMEAコンサルティング責任者 は次のようにコメントしている。「小売や消費財業界ではトランスフォーメーションがどんどん進んでいる。早い企業はすでに長い期間メタバースでの新たなビジネスモデルや顧客とのタッチポイントを模索している。新型コロナのパンデミックでさらにそうした取り組みが強化された」
アーノルディ氏はまた、メタバースはバズワード以上の存在であると指摘。「メタバースは顧客や潜在顧客に革新的なブランド体験を提供できる新たなビジネス領域やマーケティングチャネルを作り、小売・消費財業界に大きな成長機会を切り拓く」と同氏は話す。
だが、企業のメタバース参入にはリスクや課題もある。「小売業や製造業の企業は、顧客行動を絶えず分析しメタバースに関わらず組織・業務プロセス・アーキテクチャーの面で強固なデジタル基盤を構築することが必要だ。また、戦略やユースケース(利用者ニーズや利用目的の明確な定義)に基づき、その次の実装としてテクノロジーやメタバースに対応していくべきで、その順序を逆にしないことも大切」とアーノルディ氏は助言する。