「トム ブラウン」、商標権訴訟で「アディダス」に勝訴
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「アディダス(ADIDAS)」が「トム ブラウン(THOM BROWNE)」と係争中であった商標権訴訟について、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所が「トム ブラウン」によるストライプ模様の使用は「アディダス」の商標権を侵害していないとの判断を下した。
「トム ブラウン」の広報担当者はWWDを通じ、「これまで“トム ブラウン社”が“アディダス”のいかなる商標権をも侵害したことはないという裁判官の判断が下されたことを嬉しく思う。過去二十年間、“トム ブラウン”はラグジュアリーファッションを先導し続け、クラシックなテーラリングとアメリカンスポーツウエアの感性を組み合わせた完全にユニークで特色のあるデザインを消費者に届けてきた。今後も“トム ブラウン”レーベルの品質の証となってきた独創的な商品をデザインし、提供し続けられることを楽しみにしている」と声明を発表している。
「アディダス」は、「トム ブラウン」 が「“アディダス”の3本のストライプのマークに消費者を紛らわせるように似せた手法で2本、3本、4本の平行線を模したアスレチックウエアやフットウェアを販売」し、同社が「(自社の)フォーマルウェアやビジネスウェアに特化した商品ラインアップを大幅に逸脱した」として、被害や売上損失の一部として総額約800万米ドルの支払いを求めて訴訟を起こしていた。
裁判所、「商標権の侵害はない」
短い審議の中で陪審員は、「トム ブラウン」は「アディダス」の商標権を侵害していないとし、そのため被害や売上損失を補填する責任はないと発言した。
「アディダス」に関しては、昨今売上が下落した上、批判的な報道にも悩まされ、そのダメージからまだ回復していない。昨年には「イージー(Yeezy)」シリーズでコラボレーションしていたカニエ・ウエスト(Kanye West)から改名したラッパー兼デザイナーのYeが複数の反ユダヤ主義的な発言をしたため、コラボレーションが打ち切りになった。
なお、同社は今回敗訴した商標権の侵害について、2021年に「トム ブラウン」を提訴。しかしながら渦中の商品については、消費者の間でブランドもストライプ模様も混乱を招いていないとする意見が多く寄せられた。中には、他社を非難する以前に、内部の整理をつけるべきではないかという苦言も出ている。