中古高級腕時計の価格、下落傾向に

中古高級腕時計のインターネット販売を手がけるウォッチファインダー・アンド・カンパニー（Watchfinder & Co、以下ウォッチファインダー）は、最近の高級時計市場の動向を受け、取り扱い商品について15%の価格引き下げを行った。

高級ブランドグループ、コンパニー フィナンシエール リシュモン（COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT）傘下の同社はブルームバーグの取材で、供給量の増加が需要に影響し、「ロレックス（ROLEX）」「パテック フィリップ（PATEK PHILIPPE）」 「オーデマ ピゲ（AUDEMARS PIGUET）」などの著名なブランドの価格が著しく下落していると答えた。さらに経済成長の鈍化や金利の上昇、暗号通貨市場の破綻も中古腕時計価格の下落要因になっていると指摘している。

中古腕時計の平均価格は7千ポンド（約115万円）

ウォッチファインダーのアリエン・ファン・デ・バル（Arjen van de Vall）CEOによると、最大人気商品の「ロレックス」をはじめ、同社で扱う腕時計の平均価格は7千ポンド（約115万円）という。データを活用し供給量が変動に合わせて市場動向の追跡や予測を行っている同社では、今回の価格改定や供給量の増加は想定の範囲内。しかし驚いたのは、「価格リスト調整が必要になったスピードの速さ」だったとデ・バル社長は話している。

Yahoo ファイナンスは、「ロレックス」の最も人気の高いモデルの価格が昨年の4月のピーク時以降21%、「パテック フィリップ」については19%下落傾向にあると報じている。

供給量の大幅な増加に、モルガン・スタンレーも市場レポートで「今年に入って以来、中古腕時計の売買業者や個人による売却が進んだことにより、中古腕時計市場における在庫量に急激な増加が見られている」とコメントし、投資家に助言している。

創業20年におよぶ歴史を持つ「ウォッチファインダー」は、70以上の高級腕時計ブランドを取り揃え、最も人気の高い中古腕時計販売業者の一つである。フランス、ドイツ、スイス、英国、米国、香港で事業を行い、比較的新しいオンライン販売では、革新的なECサイトを立ち上げ、若い世代の間で希少性の高い中古腕時計の需要を喚起している。

一方、ファッションブランド同様、高級時計ブランドも認定中古品など独自の中古品事業を立ち上げ、新たな収入源として活用を図るとともに中古品の第三者販売者への流出を阻止する取り組みを進めている。

大手コンサルティング会社のデロイト（Deloitte）によると、中古高級品市場は現在200億ユーロ（2兆8990億円）で、2030年までに350億ユーロ（5兆770億円）に成長すると予測している。