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「ルルレモン」、人種差別疑惑が浮上

By Vivian Hendriksz

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「ルルレモン」の店舗。 写真クレジット:Unsplash

シースルーのヨガ・パンツに関する特許侵害で「ナイキ(NIKE)」から提訴されているカナダのアスリージャー&スポーツウェアブランド「ルルレモン(LULULEMON)」に、新たな疑惑が持ち上がっている。

英のファッション業界メディア「ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion、略称BoF)」は昨今、「ルルレモン」による人種差別的な行為について告発したシーナ・バトラー=ヤング(Sheena Butler-Young)氏のレポートを掲載した。「ルルレモン」のさまざまな部署に所属する現役従業員や元従業員から報告された複数の事例を通じ、バトラー=ヤング氏は同社の黒人に対する差別的な企業文化を批判するとともに、「経営陣が定期的にマイノリティの従業員に対して偏見を当てはめ、彼らを排斥することで、マイノリティの従業員はキャリアの追求にあたって白人の従業員には起こらないような障害を経験している」と指摘した。

従業員が批判「黒人差別的な企業文化」

疑惑が発覚する3年前にあたる2020年の11月、「ルルレモン」はマイノリティの従業員に公平な機会を与えることを目的とし、社内の多様性やインクルージョンを推進する専門部署「インクルージョン、多様性、公正、アクションチーム(Inclusion Diversity, Equity and Action、略称IDEA)」を立ち上げた。IDEAには従業員の多様性推進に加え、多様性・インクルージョン・公正性に関する社内トレーニングやプログラムの拡充、マイノリティ従業員とカルヴィン・マクドナルド(Calvin McDonald )CEOとの継続的なコミュニケーションの支援が任務として課せられた。

しかしながらBoFのレポートでは、複数の従業員が「IDEAの活動は会社の評判を守ることが優先され、マイノリティ従業員の福祉や昇進は後回しにされている」と証言したと主張。取材を受けた従業員らによると、「ルルレモン」の職場環境や企業文化は黒人に対してインクルーシブではないという。

「ルルレモン」の店舗。 写真クレジット:Unsplash

さらにレポートは、「ルルレモン」による多様性やインクルージョンに対する対応の遅れにより、非白人の従業員が昇進の機会を与えられなかったり、懲罰処分を受けたりしている実態を明かし、一部のケースでは従業員が解雇されたこともあったと報告している。

その一例が、シカゴのハイドパーク店の閉鎖だ。歴史的に黒人の多いサウスサイド地区の一角に2021年に開業した同店は、黒人の従業員のみを雇用し、一部の白人の顧客の間で「ブランドイメージに合わない」と非難された。同店は好業績であったにもかかわらず、2023年8月に突如閉鎖され、従業員はほぼ全員解雇された。

開店して2年の間、サービスが良いと評判で、売上も上々であったハイドパーク店であったが、店長のマイケル・“マフィー”・コリンズ(Michael 'Muffy' Collins)は開業前、従業員の採用について地元の黒人ではなくシカゴ大学の学生層に合わせて主に白人やアジア人を雇うよう会社から圧力をかけられた。なお、のちにコリンズは解雇されたハイドパーク店の元従業員6人とともに、「ルルレモン」による人種差別行為について米政府機関の雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission)に対し苦情の申し立てを行っている。

人種差別の疑いに直面する「ルルレモン」

コリンズらは、「ルルレモン」からハイドパーク店の運営に関してたびたび敵対的な扱いを受けていたことをBoFのレポートの中で明かしている。また、募集中の職種について同社が黒人の従業員に対し虚偽の情報を提供していたことなども告白した。

「ルルレモン」の人種差別に関するレポートはBoFで数カ月にわたり連載されたが、疑惑が浮上したのは今回が初めてではない。2021年には同社の従業員と元従業員12人が「インサイダー(Insider)」誌の記事を通じ、「ルルレモン」について「特権階級の白人のためのフィットネスブランドだ」と発言している。

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