AI開示の新法、ファッション広告の未来をどう変えるか

ファッションブランドにとって、AI生成画像への表示義務は、もはや倫理的な問題ではなく法的な問題となっている。

米国では、ニューヨーク州の「合成パフォーマー開示法」が6月9日に施行された。これにより、「合成パフォーマー」を起用した広告には、明確で目立つ開示表示が義務付けられる。この法律は、広告主の所在地に関わらず、ニューヨークの消費者に届く広告を掲載するすべての企業に適用される。また、8月2日にはEUの「AI法」が施行され、企業によるAI生成または操作された画像、音声、動画コンテンツの使用に関する開示義務が強化される。

その影響はすでに制作現場で現れている。200以上の企業ブランドと協業するAI画像プラットフォームのCaimeraは、FashionUnitedに対し、この規制が開示義務の段階に至る前の企画概要(ブリーフィング)の段階から内容を再形成していると語った。「例えば、モデルを使わない平置きやゴースト撮影といったタイプのAIコンテンツに切り替えたり、デザインチーム向けに利用したりすることを決めたクライアントもいる」と、Caimeraの共同創業者であるキルティ・プーニア氏は述べた。

各法律の具体的な内容がその背景を物語っている。2025年12月にキャシー・ホークル州知事が署名し、全米初とされたニューヨーク州法は、広告を制作した広告主を対象とする。この法律は、広告主が合成パフォーマーの使用を実際に認識している場合に適用され、初回違反には1000ドル、以降の違反には各5000ドルの民事罰が科される。ただし、音声のみの広告、映画やビデオゲームといった表現作品の販促資料、言語翻訳のみに利用されるAIは対象外である。また、規定に準拠しない広告を単に配信しただけのパブリッシャーは保護の対象となる。

一方、EUの規則はより広範であり、欺瞞の意図がない場合にも適用される。たとえ欺瞞の意図がなく、実在の個人を描写していなくても、実在の人物のように見えたり聞こえたりするコンテンツには表示が義務付けられる。同規制によれば、開示は視聴者が最初にコンテンツに触れる時点で明確に行われる必要があり、利用規約に紛れ込ませたり、機械可読のメタデータのみに留めたりすることは許されない。

ファッション業界にとって、この問題はモデルを起用したキャンペーン画像に集中している。これはブランドが最も自動化を熱望してきた分野の一つである。消費者は透明性を求めている。Caimeraが2026年に米国の消費者502人を対象に実施した調査によると、85%がAI生成画像と本物の画像を確実に見分けることができず、一方で75%はAI画像を開示すべきだと考えていることがわかった。また、2つのブランドが両方ともAIを使用している場合、79%が表示しているブランドを信頼すると回答した。

消費者の反応

昨年12月、ヴァレンティノがハンドバッグのプロモーションのため、AIを用いて制作した画像をSNSで公開したところ、直後に激しい批判が巻き起こった。

ゲッティイメージズのクリエイティブ担当シニアバイスプレジデントであるレベッカ・スウィフト博士は当時、BBCに対し、この否定的な反応は、多くの人々がAIコンテンツを人間による創作物よりも「価値が低い」と見なしていることを示唆するものだと語った。「人々は個人的な利用においてはAI生成コンテンツに期待を寄せる一方で、ブランド、特に高価格帯のブランドに対してはより高い基準を求めます」と彼女は述べた。「AIの使用に関する完全な透明性でさえ、彼らの支持を得るには不十分だったのです」

Diesel、グッチ、Collina Strada、Baggu、Selkie、Mango、H&M、Zalando、Guess、リーバイスなども、キャンペーンで生成AIモデルや画像を使用して世論の批判に直面したブランドのほんの一例である。

知的財産権、搾取、そして環境への影響といった問題も、以前から消費者がオンライン上でファッション業界におけるAI利用への懸念材料として指摘してきた。これらの懸念は決して抽象的なものではない。例えば、この春にはニューヨークのモデルが、契約期間が終了した自身のデータから生成されたAI画像をめぐり、小売店のRainbow Shopsを提訴した。また、同州で新たに制定された「ファッション労働者法」は、モデルのデジタルレプリカ作成に本人の同意を義務付けている。さらに、サステナビリティ関連のコンサルティングを行うThe Sustainable Agencyによれば、画像生成はAIのタスクの中でも特に二酸化炭素排出量が多く、ブランドがしばしば掲げるサステイナビリティの主張を根底から覆しかねない。

規制がブランドをAIから完全に遠ざける可能性は低い

Caimeraのレポートによれば、デザイン段階でAIによるビジュアライゼーションを活用することで、サンプル制作費を約45%、マーケティング制作費を最大80%削減できるという。さらに、コンセプト立案から発売まで6ヶ月かかっていたサイクルを最大4ヶ月短縮することも可能だ。「AIはワークフロー全体の効率化とサステイナビリティ向上に貢献します。スケッチからCADデータを作成し、AIでモデル着用画像を生成することで、サンプル制作が不要になるケースもあります」とプーニア氏は語る。

AIはまた、業界における役割そのものも再定義しつつある。AIがコンセプト立案から実制作へと移行するにつれ、その影響はマーケティングチーム内で不均等に現れるとプーニア氏は予測する。「マーケティングには常に2つのタイプの人材が存在しました。思考を巡らせアイデアを生み出す人と、それを実行する人です」と彼女は語る。「将来的には、前者のスキルや職務は変わらないでしょう。しかし後者は、かつてアナログ写真家がデジタル写真技術を習得する必要があったように、AIスキルを積極的に取り入れていかなければなりません」


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