ファッション業界のDX に求められる組織づくりの方向性
By Guest Contributor
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10年前、デジタル戦略といえば紙など物理的なものの電子化が中心であり、本来の意味でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性はなかった。それがこの2年間、企業は社内外の業務プロセスを維持するためにDXを導入せざるをえなくなっている。
本記事について 本記事の原文は、デジタルファッションの教育プログラムを提供するThe Digital Fashion Group AcademyとFashionUnitedのコラボレーションにより、The Digital Fashion Group Academy共同創設者レスリー・ホールデン(Leslie Holden)が執筆しました。
市場調査会社 International Data Corporation(インターナショナルデータコーポレーション)によると、世界におけるビジネスや製品、組織のDXの支出は2025年に2兆8千億米ドルに到達するという。これは2020年の倍以上の額だ。こうした現状で、企業は人材や業務プロセス、技術、データを含めた事業すべてのデジタル戦略を推進するマインドセットを持つことが求められており、ファッションブランドでも突然起こった市場の方向転換に組織体制づくりの見直しが進んでいる。DXを実現するためには、これまでとは異なる考え方や新たな知識と技能が欠かせない。
組織体制がシームレスなDXに重要であることは明らかだが、そのためには下記のような方向性を抑えておくことがポイントとなる。
1.テクノロジーではなく、人にフォーカスすることを起点とする。
- DXの過程において、教育機関の支援は有益である。例えば、英のマンチェスター・ファッション・インスティチュート(Manchester Fashion Institute)やニューヨーク州立ファッション工科大学(Fashion Institute of Technology)では、デジタルなスキルを持つ学生や卒業生へのアクセスをファッション業界企業に提供することで、企業にテクノロジー活用の利点を具体的な形で理解してもらうとともに、企業が実験的あるいは研究活動を不安や心配なく安全に行えるよう支援を行っている。
3.企業の連帯感は、コミュニケーションとオンデマンドの現地生産に強く依存し確立されてきたもの。デジタル化の恩恵を持続的に確保するため、DX においてもこうした連帯感を失わないようにする。
4いかなる組織になろうとも、伝統的な価値を尊重しなければならないという考え方を持つ。デジタル・イノベーションは伝統的なものづくりの技術と共存し、そこから発展するものでなければならない。組織に根付いた歴史が、イノベーションの結実の糧となる。
本記事はウェビナー「Digital Design : The New Team" hosted by The Digital Fashion Group Academy」に基づくものです。下記リンクより、プレビュー版がご覧いただけるほか、The Digital Fashion Group Academyのホームページでも全編版が公開されています。(動画はいずれも英語版)
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