JDスポーツ、第3四半期は堅調も通期利益は予想下限へ　消費者心理の悪化が影響

英国のスポーツファッション小売大手JDスポーツ・ファッション（JD Sports Fashion plc）によれば、主要市場における持続的なマクロ経済の圧力および消費者信頼感の低下にもかかわらず、第3四半期の業績は安定して推移したという。11月1日までの13週間のグループ総売上高は、最近の買収効果を含め恒常為替レートベースで8.1％増となり、オーガニック売上高も2.4％増加した。

しかし、今後の見通しについて同社CEOのレジス・シュルツは、ここ数週間で「マクロ経済および消費者指標が一段と弱まっている」とし、同社のコア顧客層における失業率の上昇などが影響していると警鐘を鳴らした。重要な商戦期である第4四半期を控え、同社は現在、2025/26年度の調整後税引前利益が市場予想の下限に着地すると見込んでいる。最新のコンセンサス予想では、2026年度の調整後税引前利益は8億7100万ポンドとされており、その範囲は8億5300万ポンドから8億8800万ポンドの間となっている。

既存店売上高は1.7％減少したものの、北米では第2四半期の2.1％減から1.7％減へと改善傾向にあり、欧州市場も底堅さを維持した。アジア太平洋地域は最も好調で、既存店売上高は3.9％増、オーガニック成長率は13.3％増を記録した。また、英国市場においても、前四半期と比較してオーガニック業績に緩やかな改善が見られた。

シュルツは、「依然として厳しい市場環境」にありながらも戦略的目標に向けて前進を続けていると述べ、アパレル部門の好調さおよびフットウェアにおけるランニングカテゴリーの継続的な勢いを強調した。一部の主要製品ラインがサイクルの終焉を迎えているものの、堅調さを維持しているという。「当社のマルチブランドおよびクロスカテゴリーのアプローチ、そして変化する顧客トレンドへの機敏な対応が、消費者および業界における逆風を相殺する一助となっている」と同氏は語った。さらに、米国事業の統合による初期のシナジー効果にも支えられ、規律あるコスト管理およびキャッシュマネジメントを行っていると付け加えた。

今期は、デジタルインフラおよびサプライチェーンの最適化への継続的な投資が行われた期間でもあった。同社は北米およびアジア太平洋地域に続き、イタリアで新たなeコマースプラットフォームを展開しており、初期の成果は有望であるとされている。また、オランダのヘールレン（Heerlen）にある物流センターでは自動化システムを稼働させた。これは欧州店舗への商品補充を強化し、長期的な効率性を高めるための重要なマイルストーンとなる。なお、粗利益率は前年比で40ベーシスポイント低下（買収影響を除くと30ベーシスポイント低下）したが、これは主にオンラインチャネルにおける戦略的な価格投資によるものである。

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