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LVMHアルノー会長、向こう30年間の一族支配体制固める

By Don-Alvin Adegeest

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LVMH owner Bernard Arnault Credits: AFP - Francois Guillo

LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEOが、今後30年にわたる一族による同グループの支配体制を固めた。一族は当初アルノー会長が死去した際に実行する予定であった事業継承計画を、末息子のジャン・アルノー(Jean Arnault)氏が25歳になるのを機に本格的に始動したと、伊のイル・ソーレ・24オーレ(Il Sole 24 Ore)紙が報道した。なお、計画ではLVMHの支配権をベルギーの財団ではなく、アルノー会長一族が出資するリミテッド・パートナーシップ(投資事業有限責任組合)、フィナンシエール・アガシュ(FINANCIÈRE AGACHE)に移行させる。

リミテッド・パートナーシップに基づく組織では、経営権限を持つ無限責任組合員(ゼネラル・パートナー)と、経済的権利を持つ有限責任組合員(リミテッド・パートナー)の両者が存在する。今回の場合、アルノー会長の妹の子供、ルドヴィク・ワティン(Ludovic Watine)とステファニー・ワティン(Stéphanie Watine)が経済的権利を保有するが、最終的な支配権は、無限責任組合員であるフィナンシエール・アガシュの支配株主であるアガシュ コマンディテ(Agache Commandité)が有する。

一方、アガシュ コマンディテの株式はアルノー氏の5人の子供に均等に分配される。子供たちの保有する株式は30年間売却できないという制限があるため、長期間の一族支配は揺るぎないものになる。また、現在74歳のアルノー会長は95歳まで無制限の権限を持つ取締役を務めることが可能である。

LVMHの2023年度第3四半期の売上高は中国経済の鈍化や米国における需要の低迷などが相まり、市場予想を下回る9%増に止まった。1月〜9月の累計売上高は、10%増だった。

同族経営の高級品ブランドは、経営体制の安定化やビジョンの共有、信頼関係の構築、統制がしやすいといった理由に加え、長期的な事業拡大や会社のレガシーへの貢献に熱心なことから、家族を重役に付ける傾向がある。社の歴史や価値観に心情的なつながりを持つ家族の経営への関わりは、円滑で継続的な事業運営にとって助けになるからだ。そうした企業では、外部の人間がリーダーシップ職にステップアップしていくことは難しい。しかしながら、専門的経験を持った人材を組織経営に迎え入れることは、新しい視点やノウハウを社内に取り入れるために必要不可欠である。

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