VFコーポレーションが「シュプリーム」ブランドを買収
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「ザ・ノースフェイス(The North Face)」「ヴァンズ(Vans)」「ティンバーランド(Timberland)」「イーストパック(Eastpak)」「ナパピリ(Napapijri)」「ディッキーズ(Dickies)」を擁するVFコーポレーション(VF Corporation、以下、VF)がストリートウェアブランドの「シュプリーム(Supreme)」を21億米ドルで買収すると発表した。
同社と「シュプリーム」はこれまでにも「ヴァンズ」や「ザ・ノースフェイス」「ティンバーランド」と定期的にコラボレーションを展開するなど長きにわたる関係を構築しており、こうした経緯から今回の買収にいたった。
現在「シュプリーム」の株を保有するカーライル・グループ(The Carlyle Group)とグード・パートナーズ(Goode Partners)は株式の売却手続きを進めており、買収は慣習的な諸条件と規制当局の承認を受けて2020会計年度末までに完了する予定。
今回の買収はVFが進める消費者志向や小売中心、ハイパーデジタル(超デジタル化)なビジネスモデルへの転換に向けた戦略計画の一環であると同社は説明している。
同社のスティーブ・レンドル(Steve Rendle)会長兼社長兼最高経営責任者は書面にて「ステークホルダーに対する価値創造を進める中、“シュプリーム”を当社グループに迎え我々が10年以上築いてきた関係をさらに深めていけることに興奮している。当社は“シュプリーム”という文化的なライフスタイルブランドの伝統を守っていく上での理想的なパートナーであり、当社の商業規模や専門性を活かし持続可能で長期的な成長機会を彼らに提供していく」とコメントしている。
ストリートウェアブランドの「シュプリーム」がVF傘下に
「シュプリーム」は、VFが掲げる2024年度戦略目標の中核である“国際的および直接的な消費者販路の拡大”を通じて最終的に世界で10億米ドル相当の事業機会を提供するとVFは見込んでいる。また同ブランドの傘下入りにより、「ヴァンズ」「ザ・ノースフェイス」「ティンバーランド」「ディッキーズ」などとならびVFの打ち出しているストリートブランドのイメージが一層強化されることを期待している
さらにVFは、今年度(2021年4月末に終了)の調整後1株当たり利益が「控えめに増加する」としている。なお、来年度のVFの業績見通しには「シュプリーム」買収により最低5億米ドルの増収および調整後1株当たり利益の20セント増を想定している。
一方「シュプリーム」は、VF傘下となることでVFの持つグローバルなサプライチェーンや事業基盤に加えEC機能や消費者動向に関する知識などを活用できる。
「シュプリーム」の創業者ジェームス・ジェビア(James Jebbia)氏および役員陣は引き続き同社に残り、本社もこれまで通りニューヨークに置かれる。
ジョビア氏は「世界的な企業であり、我々が長年一緒に連携してきたブランドを擁するVFに加わることを光栄に思う。このパートナーシップにより我々のユニークなカルチャーならびに独自性が維持されるとともに、1994年の創業時より歩んできた道のりで成長し続けることが可能となる」と述べている。
画像: courtesy of Supreme