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エルメスの初代「バーキン」が英V&Aの企画展に登場

By Danielle Wightman-Stone

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カルチャー

英国ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(以下、V&A)はバッグが主役のファッション企画展「バッグス:インサイドアウト(Bags: Inside Out’)」展を11月21日より開催し 、女優ジェーン・バーキン(Jane Birkin)が所有したエルメス(Hermès)の初代「バーキン(Birkin)」やモデルのケイト・モス(Kate Moss)、アレクサ・チャン(Alexa Chung)愛用のマルベリー(Mulberry)のバッグを公開する。

同展は「究極のアクセサリー」としての鞄に着目した英国における最大規模の展示として企画されたもので、デザイナー・バッグから公文書箱(下院議会の演説用テーブルの上の箱)、バニティーケース、ミリタリーリュックなど、英国で長年愛されてきた鞄の歴史を振り返る資料約300点が出展される。

企画を担当したV&Aのルチア・サヴィ(Lucia Savi)は「“バーキン”は20世紀と21世紀で最も入手困難で有名なバッグ。長年の愛されることとなったバッグの原点であるジェーン・バーキンのために作られた初代の“バーキン”バッグを公開でき大変興奮している。“バーキン”は持ち主が何度も使い続け、使用感が表面に現れる大変ユニークなバッグ。そのパーソナルなディティールはバッグがステータス・シンボルであると同時に、日常生活における実用なパートナーであることを気づかせてくれる」 とコメントしている。

Header 2V&Aによる「究極のアクセサリー」のバッグをテーマとした企画展

「バッグス:インサイドアウト」展の目玉は“バーキン”の由来である女優で歌手のジェーン・バーキンが所有した“バーキン”の第一号作品。ジェーンはパリ発ロンドン行の飛行機の中で当時のエルメスの会長ジャン=ルイ・デュマ(Jean-Louis Dumas)に出会い、若い母親として気に入るバッグが見つからないことを彼にこぼした。これにヒントを得たディマ氏は、機内のエチケット袋に光沢仕上げのフラップとサドルステッチが施された、しなやかで収納力抜群の長方形のバッグのスケッチ画を描いた。

このバッグはジェーンにちなみ「バーキン」と名付けられ、たちまち富や贅沢のシンボルとなった。企画展で展示されるのは1984年に発売された最初のモデルで、他のモデルにはないショルダーストラップがついている。ジェーンのイニシャルが入り、本人が使い古したバッグにはジェーンが好んで貼っていたシールの後も残っている。初代「バーキン」はジェーンが1994年にエイズ啓発のチャリティ・オークションに寄付した。その後2000年にエルメスやシャネルのバッグのコレクターでパリでブティックを 経営するキャサリン B氏がバッグを取得した。

さらに企画展ではデザイナー、ニコラス・ナイトリー(Nicholas Knightly)がデザインした「ベイウォーター(Baywater)」およびTVタレントで現在デザイナーとしても活躍するアレクサ・チャンが手がけた「アレクサ(Alexa)」という、マルベリーの最も有名なバッグ2点も披露。アレクサ・チャンは「アレクサ」バッグを発表した2010年に年紀の入ったマルベリーのメンズ用サッチェルバッグ「エルキントン(Elkington)」を持ち歩く姿がよく写真に撮られ話題になった。

マルベリーの伝説の2作品についてサヴィ氏は、「“ベイウォーター”と“アレクサ”はマルベリーを代表するタイムレスな2大作品。ケイト・モスやアレクサ・チャンの愛用品でもある二種類のバッグを展示できることを嬉しく思う。ケイト・モスはよく“ベイウォーター”をはじめとするマルベリーのバッグを持ち歩いていて、彼女の存在が今日の“ベイウォーター”の象徴的なマルベリーのアイコンの確立につながった。また“アレクサ”は英国のテレビ番組タレントやモデルとして活躍するアレクサ・チャンがマルベリーの男性向けブリーフケースを使っていたことからアイデアを得て開発された、実用的でファッショナブルな女性向けレザーのサッチェルバッグ。それはセレブリティがバッグのデザインに影響を与えた現代の事例となっている」と説明している。

Header 2V&A主催の「バッグス:インサイドアウト」展は11月21日より開催

さらに企画展では、世界中から集められた16世紀から現代にいたるまでの歴史を象徴するバッグ達を集め、その機能やステータス、職人の技術を巡っていく。第一部では物を入れるための実用的な道具としてのバッグに着目し、バカンスのドレスや機密文書、お金、化粧品、さらにはガスマスクを入れる袋まで多彩なバッグを特集。第二部ではステータスとアイデンティティをテーマに、著名人の文化におけるバッグの中心的な役割や政治家やエリート達の間で悪評となった鞄、そして1990年代後半から2000年代初めに人気が沸騰し、「イットバッグ(It Bag)」現象を巻き起こした高級バッグを振り返る。締めくくりの第三部ではスケッチからサンプル制作、縫製、販売にいたるまで、バッグのデザインから製造までのプロセスを紹介する。

ほかにも、エリザベス1世の女王の国印の銀製鋳型を保管するために使われた大きな刺繍入りの聖体布入れ、第二次世界大戦中にメアリー女王が所有していたガスマスクバッグ、英国のウィンストン・チャーチル首相の赤い公文書箱、そして米国のテレビドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」のエピソードでサラ・ジェシカ・パーカー演じる主人公が着用し、盗まれたフェンディ(Fendi)の「バゲット」バッグも登場する。

さらにシャネル(Chanel)、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、トム・ブラウン(Thom Browne)、アニヤ・ハインドマーチ(Anya Hindmarch)、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、ディオール(Dior)のデザイナーバッグも出展される予定。

なお、同企画展は当初4月に開催予定であったが、11月21日開催に延期された。

画像提供: V&A Museum; Main image - Mike Daines, Shutterstock; Kate Moss - Beretta Sims, Shutterstock; Birkin image - Les 3 marches de Catherine B; and Alexa Chung - Jennifer Graylock, Shutterstock

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