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ファッションウィークに見る最新バーチャル・ランウェイ事情

ファッション

By Trendstop

2020年8月19日

ファッションウィークのバーチャル開催によりコンテンツ制作やコミュニケーションの常識が書き換えられている−。だが、これまでの熱気あふれる対面型のキャットウォーク抜きでバイヤーとのネットワークをどう作っていけばよいのか。

新型コロナ危機によりもたらされたデジタル化の波で多くのファッションショー映像やポッドキャスト、オンラインのウェビナーが制作される傍ら、スクリーン越しのコンテンツは、人と人とが触れ合う従来のイベント形式の情緒感から生まれる体験を奪う。

今回のTrendstop通信では、直近のファッションウィークで登場した事例から、ランウェイにおける最新デジタル事情を紹介する。

本誌が特に注目したのは「ロエベ(Loewe)」と「グッチ(Gucci)」の二つのブランド。両者の 2021春夏コレクションのビデオでは、いずれもデジタルの冷たい印象を緩和させるため、新作デザイン制作の舞台裏シーンを織り交ぜ視聴者の興味を引く演出を取り入れている。

「ロエベ」は2021春夏新作発表ビデオ「ショー・イン・ア・ボックス(Show in a Box)」を披露。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)クリエイティブディレクターが書いた手紙や紙のルックブック、生地見本をはじめ、デザインチームのメンバーの紙製ミニチュアパネル、仕掛け絵本のように飛び出すセット、段ボールで出来た手動レコードプレイヤーでショーのサウンドトラックを流すシーンなど、映像を通じて普段はなかなか見ることができないランウェイショーの制作現場に視聴者を招き入れた。

一方「グッチ」はデジタル化を最も驚くべき形で生かし、メンズ&ウィメンズの新作「エピローグ(Epilogue)」コレクションの制作の舞台裏を紹介した12時間にもおよぶ動画をライブ配信した。ローマ、パリ、ミラノ、マドリード、モスクワのカフェやバー、レストランを舞台に制作された動画では、公式なランウェイショーの前にアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)クリエイティブディレクターのデザインチームがモデルとなって新作を披露する映像も展開。またライブ配信後、映像の中でも使われたオーガニック栽培の野菜が世界各地のファッションエディターやインフルエンサーに届けられ、不完全という美というコレクションのメッセージを印象づけた。

興味深いのは二つのブランドが共にデザインチームを登場(「ロエベ」に関しては紙のミニチュアパネルだったが)させたこと。おそらくパンデミックの中で一つになった家族や友人、同僚たちに対する感謝を再認識した結果であろう。

舞台が17インチのスクリーンになっても、観客に提供する経験までも縮小されることがあってはならない。デジタルという領域でブランドが勝ち残る公式は、おそらくそこにあるのではないか。

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