2023年春夏を彩る5つのキーカラー
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トレンド予測エージェンシーWGSNと革新的なカラーシステム「Coloro (カラロ)」は2023年のトレンドカラーを含む2023年春夏の色5色を発表した。2023年とは遥か先のことのように思うかもしれないが、2023年のファッション業界でのブレイクを前に、2022年のコレクションでこの5色がお目見えすることが予想される。
2023年春夏トレンドカラー予測のキーポイント。それは、「ポジティブさ」と「楽観」の回帰だ。選ばれた色たちは、デジタルと現実世界との両方に適したものであることはおろか、将来的に待ち構える数々の困難とは裏腹に、希望や安定、そしてある種のバランスを称える色となっている。それらはまた幸福や復興の表現であり、自然な癒し・持続可能性・サーキュラーエコノミー(循環型経済)に光を当てている。さらにその根底には、私たちの心と体の健康にとって前向きな影響のある世界で進化し続けるというテーマが感じられる。
さらにその5色は、自然との新たな関係性や、困難な時代からゆっくりと目覚めようとしている世界への敬意を表するものでもある。本記事ではそんな5色を詳細に紹介したい。
デジタルラベンダー(Digital lavender)
2022年のオーキッドフラワーに続き、2023年の色に選ばれたデジタルラベンダー。再来年もポジティブさや健やかさ、癒しを象徴する紫系の色味がファッションに大きな影響を及ぼしそうだ。デジタルラベンダーはその短い波長故に、安定感があり、冷静さや安らぎを感じられるとされている。私たちの周りで急速に進化するデジタル社会とも相性が良く、ジェンダーレスなカラーとして2023年の春夏および秋冬新作に繰り返し登場するだろう。
サンダイアル(Sundial)
WGSNが予測した2022年のトレンドカラーのマンゴーソルベから自然な流れを組んで発展した深みのあるアースカラー、サンダイアル。日時計の意味を持つこのブラウン系のカラーの色味には、オーガニックな素材の持つ本物の味わいにインスピレーションを受けた、地に根を張ったような力強さが感じられる。田舎暮らしや自然への注目は、昨年欧米でブームとなった「コテージコア(cottagecore)」や「ゴブリンコア(goblincore)」のトレンドでも顕著。温かみのあるサンダイアルは、すでにブランド各社のリゾートや2022年春夏コレクションのDIYやアルチザンを意識した新作でも取り入れられている。
ルーシャスレッド(Luscious red)
今回選ばれた5色のうち、最も明るい色味を放つ、ルーシャスレッド。エネルギッシュで鮮やか、それでいて少し透明感もあり、欲望や情熱、エンパワーメントを象徴する楽観やポジティブさを強く押し出す。赤は季節を問わず取り入れたい色だが、エレガントで遊び心に溢れたルーシャスレッドは、goodな雰囲気や楽しい時間、そして待ち焦がれた大胆さを思い起こさせる。
トランキルブルー (Tranquil blue)
より落ち着きのある、調和の取れた未来を予感させるトランキルブルーは2022年に登場したアトランティックブルーを踏襲しつつ、より深みや鮮やかさを増した青色だ。「明るい時代には明るい色を」と言わんばかりに、その色はデジタルとフィジカルな世界の間でなんとかバランスを取りながら、より健康的なライフスタイルを取り戻すことの必要性を描写している。そこにあるのは、多くの変化や事象が同時に起こり続ける現状で、新たな落ち着きにたどり着くという発想だ。私たちの生活、そしてワードローブともに、曇りが晴れ軽快さ・調和へと回帰していくことをトランキルブルーは称えている。
ヴァーディグリス(Verdigris)
80年代のスポーツウェアやアウトドアギアのような懐かしさのあるヴァーディグリス。緑を青のトーンをブレンドし活力を与える色合いは、ティールよりも控えめな印象を持つ。そのノスタルジアは爽快で、緑を起点とした自然への回帰を彷彿とさせる。フィジカルでも、デジタルメディアとしても使い勝手がよく、時を経ても古びない現代的なカラーである。
写真クレジット: Pantone