昨今、何かと批判の多いニューヨークファッションウィーク(NYFW)。あちこちに散乱する会場、法外なショーの開催費用。その上助成金が廃止されるなど、たしかに批判の内容はある程度妥当といえる。
一方で、80年代や90年代に懐かしさを覚えるオトナ世代には、摩天楼のファッションは、シックなアップタウンと、クールなダウンタウンという二つの顔を持つ。三十ウン年前、NYFWといえば、毎年、そして毎シーズン、プラザホテルの「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」と「オスカー デ ラ レンタ(OSCAR DE LA RENTA)」に始まり、ザ・ピエールの向かいの会場を舞台に行われる「ジェフリー・ビーン(GEOFFREY BEENE)」のショーで幕を締める、というのがおきまりのパターンだった。会期中にはほかにも「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」、「ダナ キャラン ニューヨーク(DONNA KARAN NEW YORK)」といった錚々たるブランドが7番街のショールームに集まり、最新コレクションをバイヤーやプレス限定で披露する。
そして夜になるとゲストたちはダウンタウンのクラブやレストランに場所を変え、『ビレッジ・ボイス』や『ディテール』で読んだ若手デザイナーとの会話を楽しむ。今年デビュー40周年を迎えたベテランデザイナーのマーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)が、1992年に当時クリエティブディレクターを務めていた「ペリー エリス(PERRY ELLIS)」で、NYのストリートファッションとラグジュアリーを融合させた「グランジ(Grunge)」コレクションを発表し、その評判の悪さに即刻クビになるという事件も起きた。
三、四十年前と比べて、現代のNYFWは大きく異なるように思えるかもしれない。しかしポジティブに考えれば、ニューヨークは今だに世界のファッションウィークのトップバッターである。(最近ではコペンハーゲンも勢いを増しているが。)ロンドンやミラノ、パリで発表されるコレクションの指標であるNYFWの動向は、シーズンを先取りしたいファッションプロフェショナルとしては見逃せない。そんな最新NYFWから、特筆したいトレンドを写真でご紹介。