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苔・キノコ・カエル… 欧米で話題の新トレンド「ゴブリンコア」を紐解く5つのステップ

By Léana Esch

2021年9月13日

ファッション

「ステラ マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)」や「エルメス(HERMÈS)」がキノコ菌由来の人工レザーを使った服を発表し、消費者の環境意識が高まるなか、ファッション業界はこれまでよりもさらにエコなビジネス推進に向け徐々に変化・順応し始めている。さらに「Z世代」や「ミレニアム世代」といった若年層は特にポスト・パンデミックを迎え自然とのより深いつながりや自らのルーツとしての自然への回帰を求める傾向が見られている。それを象徴するかのように欧米で今、話題沸騰中の最新トレンド。それは「ゴブリンコア(Goblincore)」だ。

「コテージコア」の進化系

「ゴブリンコア」は、ヨーロッパに伝わる伝説の生き物「ゴブリン(goblin)」に、英語で強いこだわりを示す接尾詞「コア(core)」をつけた造語である。(日本語で言えば「ゴブリン系」といったところだろうか。)「ゴブリン」は森や洞窟に住み、見た目が醜い小鬼のような容姿を持つとされ、『指輪物語』や『ハリー・ポッター』にキャラクターとして登場している。

「ゴブリンコア」は、一昨年くらい前に欧米で TikTok等をはじめとするSNS上で流行した、ファンタジーのような自然の世界や自然との純粋で理想的な関係をファッションで表現した「コテージコア(cottagecore)」に似ている。しかし「コテージコア」がガーデニングから派生し、草花や動物と戯れ、その不思議な世界を味わうものであるのに対し、「ゴブリンコア」(または、「マッシュルーム(mushroom:キノコ)コア」「モス(moss:苔)コア」とも呼ばれる)が着目する自然は麗しいものではなく、荒々しく、手つかずで、本来のそのままの自然でなくてはならない。

火付け役はTikTok

2019年あたりから欧米で流行り出した「ゴブリンコア」だが、新型コロナパンデミックによりTikTokの人気が急上昇したことからブレイクした。TikTokでは「#goblincore」とタグの付いた投稿の閲覧数は5億件を超えたほか、InstagramやPinterestでも検索数が増加し、消費者の間で「ゴブリンコア」のトレンドが広まり自分のファッションに取り入れようとする動きが高まった。TikTokでさまざまな「コブリンコア」に関するコンテンツを発表している「@froggiecrocs」は、「コブリンコア」界のレジェンドとされ、そのフォロワー数は9万人にも上る。

本来の自然の姿を表現

「ゴブリンコア」は、あらゆる意味において多様で荒々しい本来の自然の姿を称賛するものである。そのため、そのファッションはキノコやカエル、カタツムリ柄をふんだんにあしらった服やナメクジ型のアクセサリー、苔のような色使い、さらには泥・動物の頭蓋骨・ミミズといったモチーフなどまでもを代表的なエレメントとしている。美化せず、華美なディティールを取り除いた真実の自然の形を表現することを求める「コブリンコア」にフィルターは存在しない。そこにあるのは生で偽りのない自然なのである。

ジェンダーレス

欧米のZ世代やミレニアム世代は、「ゴブリンコア」を通して前向きな人生観を見出している。なぜなら、「ゴブリンコア」は不完全で未熟であることを良しとし、私たちのルーツや、私たちが生まれた場所、自然の意義を称えようというコンセプトであるためだ。また、「虫は“女性/男性らしい”と見られることはやなく、それぞれが生き物として捉えられている」といったように、「ゴブリンコア」にはジェンダーやジェンダーにまつわる考え方に対する独自に定義があるのも特徴だ。

無限に“つながる”日常からの逃避

あらゆる産業がより環境に配慮した事業推進へのシフトを余儀なくされるとう昨今において、「ゴブリンコア」はまさにそれを体現するものだ。若者たちは今、自然が私たちにくれる数々の驚きに関心を抱き、よりサステナブルな未来をつくるために必要な変化に気づき始めている。「ゴブリンコア」はその流れのなかでの当然の結果として現れた。それはデジタルに囲まれた世界で無限に“つながり”続ける日常からの逃避である。まるで私たちが待ち望んでいた、自然とは一体何かについて思いを馳せる一時の休暇のような。

画像: Birkenstock x Jil Sander, via Karla Otto PR