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植物由来&サステナブルな最新生地加工技術5種が登場

By Esmerij van Loon

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ファッション

Moonlight Technologies

昨今、新しいサステナブルでカーボン・ネガティブな植物由来の最新生地加工技術5種の商業展開が開始された。開発を手がけたムーンライト・テクノロジーズ(Moonlight Technologies)のアリー・サットン(Allie Sutton)CEOは、こうした5大新技術が今後のファッションの未来を変えると確信する。FashionUnitedはサットンCEOに取材し、その理由を訊いた。

今となってはよくある話だが、新しい生地加工技術の開発のきっかけは新型コロナ危機だった。「手袋や防護服といった使い捨て用品以外に何か事態を改善する技術があるはずだと思った」とサットンCEOは言う。「服を捨ててしまうかわりに、ウイルスがなくなる技術があるはずと考えた」

開発チームには、同社のグローバル・メディカル・ディレクターで婦人科系がんの専門医およびマサチューセッツ工科大学(MIT)の材料工学部の学位を持つフィリス・ルバイン(Phyllis Levine)医師がいた。サットンCEOとルバイン医師は植物化学の多様な分野への応用に取り組んでいた企業と連携し、新しい生地加工技術の開発に乗り出したのだ。

ファッションの未来は「セルフクリーニング(自浄式)生地」

「ファッションの未来は、洗う必要のない天然染料や製品」とサットンCEOは話す。同社が開発するセルフクリーニング(自浄式)の加工技術は、生地の製造過程において染色のあとに仕上げなどと同時に施される。「植物性由来のイノベーションを活用し、自然の力でよりサステナブルで安全・健やかな世界を実現する」というムーンライト・テクノロジーズの使命は世界中のブランドを惹きつけ、その多くが同社の加工技術の導入を待ち構えているとサットンCEOは話す。

同社が開発した5つの新しい生地加工技術は次の通り。細菌やカビなどを99.9%殺菌する空気・プラスチック・布地に適用可能な世界初のサステナブルな抗菌技術の一種である「エコアーマー(EcoArmor)」、布地・肌・家電・家具などに使える植物由来&ペルメトリン不使用の虫よけ加工技術「インセクトプルーフ(InsectProof)」、布製品の使用後も洗い立てのような風合いや清潔さを保つことができ、洗濯回数を抑えることができる自浄作用生地加工技術「マインドフリークリーン(MindfullyClean)」、布製品の消臭効果加工技術「オドアセーフ(OdorSafe)」、そして環境にやさしい方法で製造された、家具・家電等や布製品用非毒性・生分解性染料シリーズ「ナチュラル・ダイズ(Natural Dyes)」。いずれも化学繊維・天然素材を問わず幅広い生地に導入可能な技術だ。

天然染料は濃い色合いを出すのがほぼ不可能とされているが、ムーンライト・テクノロジーズの植物由来の天然染料シリーズでは炭を使わずに黒色に染めることができる製品もある。

1850年に登場した合成染料は大量生産が可能であるほか、鮮やかな色に染めやすいのが特徴である一方、環境に有害な化学物質が含まれている。その点、非アレルギー性で草や木、花、菌糸などから作られる天然染料は地球にも人体にも優しい。一般的に天然染料は合成染料に比べると高価だが、ムーンライト・テクノロジーズの天然染料は手頃な価格で提供されている上、カーボン・ネガティブな製造工程を実現しているという。

ファッション業界出身のサットンCEOであるが、自社開発技術を幅広い分野に提供できることを嬉しく思うと言う。ムーンイト・テクノロジーズの加工技術は、アパレルはもちろん、制服や家庭用品、空気ろ過装置、旅行産業、ホスピタリティ関連製品、フィットネス機器、家電、家具、塗料などさまざまな分野に展開可能だ。

「多くの小売業者がすでに当社の技術を導入している。大手グローバルブランド数社ともトライアルが進んでおり、関心を示してくれている。今回の商業展開を機に、多様な産業の企業とのコラボレーションを通して、技術の実用化が図れることを期待している」とサットンCEOは語る。

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