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【Denim Dudes がレポート】‘25年春夏デニム最新トレンド

By Sylvana Lijbaart

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ファッション

オランダ・アムステルダムで開催された2025年春夏向け「キングピン(Kingpins)」。毎年恒例のデニム展示会のセミナー会場は、講演開始20分前にも関わらずスタイリッシュな装いのゲストたちで溢れ返った。最新トレンド情報が気がかりな観客を前に、デニムコンサルティング会社「デニム・デューズ(Denim Dudes)」のシャノン・レディー(Shannon Redd)は45分間のプレゼンテーションを行い、デニムの最新事情を鮮明に語った。

レディーが発表した2025年春夏のデニムトレンドのプレゼンテーションは、「未来のアトリエ(Future Atelier)」「体現(Embody)」「ローキー・フレックス(Low-key Flex )」「復活(Resurgence )」の4つの章で構成されていた。それらに一貫して見られるテーマ。それは、「自分らしくあっていい」という自己表現だ。

未来のアトリエ(Future Atelier)

2025年春夏シーズンは、「クワイエットラグジュアリー」が新しい時代を迎える。控えめでミニマリストな贅沢を追求する「クワイエットラグジュアリー」のムーブメントは、本物の逸品は誇示不要で、慎ましさこそがスタイルを際立たせるとした考え方だ。そんな「クワイエットラグジュアリー」の提唱者から特に支持されているのが、「ザ・ロウ(THE ROW)」や「ケイト(KHAITE)」、「ブルネロ クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)」「ジル サンダー(JIL SANDER)」。こうしたメゾンでは、商品に大袈裟なロゴを入れずとも、分かるものだけに分かる形でブランドを訴求している。

新時代のファッションにおいては、派手な装飾よりも上質なクラフツマンシップやダイバーシティ、ラグジュアリーなディティールが重視される。加えて、大企業ではなく本物志向の新興ブランドに注目が集まることも予想される。デニムでいえば、ディティールにダイアモンドを散りばめたユニセックスなアップサイクル・ウエアといったアイテムにこうしたムーブメントが反映されるだろう。そこに込められているのは、「平凡だって大丈夫」というメッセージだ。

Valentino Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Coperni Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Coperni Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight

体現(Embody)

Z世代の前向き志向にフォーカスしたこのトレンドが発信するのは、「思い描く人生を生きる」という考え方。1990年代後半生まれの若年世代は、自分が幸せであるために必要なものはなにか、自分の人生で達成したいことは何なのかということに重きを置く。将来形成のための道筋を見つけた彼らは今、彼らはそのアプローチを一歩前進させ、自分たちと同じ感覚を共有するコミュニティー探し始めている。

世界が人が自分らしくあることを許容し、それを可能にするようになってからしばらく経つが、そのトレンドは今後も続いていくと見られる。過去には、男らしく、ニュートラルで、オーバサイズなシルエットが中心的な表現であったものが、ポスト・バービー時代に入った昨今では、明るいピンクやパープルに(ダークな)青を組み合わせるといった、よりフェミニンな形式へと変化してきている。

Christian Cowan Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Diesel Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Coperni Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight

国境を超えて広まる自己表現や際限ないオンラインの世界へのアクセスは、デジタルな領域で自分を発見できる機会を人々に与える。こうしたフューチャリスティックなバーチャルファッションの影響は、今後いたるところに浸透していくと予想される。ちょっと変わった超ミニのトップス、クリエイティブなフラットシューズ、カットアウトのピースを使ったルックスが今後増えていくだろう。

Budapest Select Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Y/ProjectSpring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Y/ProjectFall Winter 2023, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight

ローキー・フレックス(Low-key Flex)

「未来のアトリエ」の章にも通じつつ、そのコンセプトを一歩前進させたのが、ローキーなフレックス。このトレンドは示唆に富んでいる。近頃、人々は裕福な友人の取り残されまいとして、言ってみれば、他に自分を証明する術のないエリートと競り合おうと身を削る。きりがない過剰な資本主義のサイクルに加担するのはもう辞める時期ではないのか。そうレディーは問いかける。

ラグジュアリーな商品は、高値な故に大衆には手が届かず、限られた人々のみが購入できるものとなる。しかしインクルーシビティの重要性が増す昨今で、そのような排他的な状況はもはや許されない。そのため、今日のローキー・フレックスなファッションとは、買いやすく、かつ、すべての人々を包摂するアイテムであることが条件である。クローゼットに眠る一着や、リサイクルショップで見つけたユーズドジュエリー、またはただのシンプルなTシャツでさえも、より親しみのある雰囲気を醸し出すことができる。そんなローキー・フレックスのトレンドは、1990年代を彷彿とさせる。

Blumarine Spring Summer 2023, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Blumarine Spring Summer 2023, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight

復活(Resurgence)

1990年代〜2000年代前半のインフルーエンスを現代のデザイン事情で捉えた「アヴァンY2K(Avant Y2K)」が復活の兆しを見せている。全体的にZ世代をターゲットとした「アヴァンY2K」は、2000年前後に流行したポップカルチャーやテクノロジーの要素を融合させるとともに、フューチャリスティックなディティールにレトロなインスピレーションを付加しているのが特徴。アイテムで例えるなら、大胆なグラフィックT

シャツやダブルデニム、グリッターを散りばめたピースやローライズ・ジーンズといったところだ。

Diesel Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Diesel Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight
Diesel Spring Summer 2024, Ready to Wear. Credits: Launchmetrics/spotlight

昨今、「アヴァンY2K」のデザインを再定義しようとするデザイナーが登場している。「アヴァンY2K」は多くのブランドのコレクションに浸透しているが、これを復活させようというのが、「ショーン ジョン(SEAN JOHN)」や 「カールカナイ(KARL KANI)」だ。

Z世代は、ジーンズを細部にまでこだわって捉え直している。ポケットやジッパーを増やしてみたり、よりウエストを低く仕上げたりというのはその一例だ。加えて、体型を見せるようにしたデニムウエア、ウォッシュアウトのオーバーオール、90年代〜2000年前半に人気を博した手書きのブランドロゴのレファレンスもこのトレンドの典型的なエレメントだ。

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