挑戦か、安定か：パリ・ファッションウィークに見るブランド戦略

「歴史的」という言葉が、今回の注目すべきファッションウィークを形容するために業界関係者の間で広く使われた。多数のブランドが、その歴史における重要な一章を開始し、新アーティスティック・ディレクターによる初のコレクションを発表するシーズンとして今季を選んだのである。これらのデビューが世間の注目を大いに集めた一方で、その他にも印象に残る重要な瞬間があった。

要するに、今回のパリ・ファッションウィークは、大きく3つの潮流に分けられた。「グランド・デビュー」、「ソフォモア」（アーティスティック・ディレクターによる2度目の発表）、そして「継続性のコレクション」である。それぞれが、ブランドの市場での立ち位置や独自の成長サイクルに合わせた、ユニークな戦略を浮き彫りにした。

グランド・デビュー

ファッションハウスに新しいクリエイティブ・ディレクターが就任することは、常に好奇心、焦燥感、そして興奮といった、感情や感覚の強い混合を引き起こす。それはブランドにスポットライトを当てる一方で、その注目が一過性のもので終わらず、時間をかけて持続することも重要である。

シャネルでは、ファッション部門の新アーティスティック・ディレクター、マチュー・ブレイジーが期待に応えたようだ。スタンディングオベーションで幕を閉じたショーは、観客を涙させた。彼らはまた、1983年から2019年までシャネルのアーティスティック・ディレクターを務めたカール・ラガーフェルドの時代に完全に終止符を打った、このショー自体の重要性にも心を動かされたのかもしれない。

ブレイジーは、クラシックなツイードスーツのイメージを刷新し、断固としてモダンなシルエットを提示した。これは、素材への創造的なアプローチ、流れるようなカット、そしてウェアラブルなスタイリングによって達成された。ブレイジーがデザインした作品の、一見したシンプルさと優れた創造性は、彼の前職であるボッテガ・ヴェネタで既に商業的な成功を収めており、この名高いフランスのメゾンの売上も押し上げる可能性がある。

ハイライトとして、最初のモデルが着用したシャギーなイヤリングや、柔らかくオーガニックなニットに再構築されたすべてのツイード作品が挙げられる。

バレンシアガでは、ピエールパオロ・ピッチョーリがケリンググループ傘下の同ブランドに新たな方向性を与えている。前任者デムナが提案したオートクチュールとストリートウェアの融合に続き、このローマ出身のデザイナーは、モダンで、はるかに分断を生まないグラマーを注入している。自身のアプローチを説明するため、新アーティスティック・ディレクターは、メゾンの伝統の「再調整」という言葉を用いた。

注目すべきは、ピッチョーリがブランドのベストセラーの一つである「City Bag」を巧みに再解釈した点である。ブランドの売上は減少しているものの、レザーグッズ部門は依然として好調であるため、これは重要なポイントだ。

LVMH傘下のメゾン、クリスチャン・ディオールは、ジョナサン・アンダーソンによる初のウィメンズウェアコレクションを発表した。シャネルのマチュー・ブレイジー同様、このデザイナーのシグネチャースタイルは明白であった。それは、彼が10年以上にわたってクリエイティブ・ディレクションを率いたロエベでの創造的探求の延長線上にあるように見えた。

アンダーソンの作品は、時に極めて概念を重視したものであり、一部からは商業的すぎると見なされていたマリア・グラツィア・キウリによる前コレクションとは一線を画す。ショーで発表された作品に加えて、クラシックなアイテムがリテール向けに補完される可能性が高い。これは特に、前任者が築き上げた忠実な顧客コミュニティを失望させないためであろう。

アンダーソンがロエベのアーティスティック・ディレクターを退任したため、その役割はジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスに託され、彼らの最初のショーが10月3日金曜日の朝に行われた。ここには断絶はなく、明確な継続性が見られた。アンダーソンが培ってきた遊び心のある表現手法は、アーティスティックな作品と日常着をミックスしたグラフィックなコレクションの中で引き継がれている。

ハイライトは、メゾンが「広々とした両面仕様」と説明する「Amazona 180」バッグの復刻版で、開いても閉じても着用できるデザインとなっている。

もう一つの大きな新展開は、デュラン・ランティンクによるジャンポール・ゴルチエの初コレクションであった。25年秋冬ファッションウィークで最もバイラルになったルックの一つ（偽の胸をつけた男性のルック）の制作者である彼は、ジャンポール・ゴルチエのプレタポルテをランウェイに復活させるという創造的な責任を担っていた。挑発的かつ革新的なファッションで知られるこのオランダ人デザイナーは、自身のスタイルに忠実であった。その結果、JPGのコードへの強い言及と、ヌードを弄ぶ挑発的なシルエットを特徴とする、賛否両論を呼ぶ提案が生まれた。

今シーズンはまた、ロレアルグループ傘下のブランドであり、そのイメージがドラマティック、スペクタクル、グラマラスといった言葉にふさわしいミュグレーでのミゲル・カストロ・フレイタスのデビューも飾った。新アーティスティック・ディレクターは、砂時計のようなシルエットとモノクロームのアンサンブルが織りなす官能的な言語に焦点を当て、特にヌードシェードを強く打ち出した。

注目すべきは、ソーシャルメディアで最もシェアされたルックの一つが、星を散りばめ、モデルの乳首に小さなフープで留められた、軽やかなドレープドレスであったことだ。

ソフォモア

ジバンシィ、トム フォード、メゾン マルジェラ、そしてセリーヌは、いずれもアーティスティック・ディレクターによる2度目のコレクションを発表した。これは、ブランドがビジョンとアイデンティティを確立し、消費者およびプロのバイヤー双方からの信頼性と正当性を獲得するための重要なステップである。

2025年3月、LVMH傘下のもう一つのブランド、ジバンシィのアーティスティック・ディレクターである英国人デザイナー、サラ・バートンは、彫刻的なカットと拡散力のあるルックで皆を魅了した。ラグジュアリー大手のアーティスティックな舵取りを女性が担うという彼女の立場は、この役割に主に男性を任命してきた業界では稀なケースである。そのため、彼女のフェミニンなビジョンは、その卓越した才能を超えて、業界内で特別な関心を集めている。

サラ・バートンは、ジバンシィ2026年春夏ショーのノートに次の文章を記した際、この独自性を意識していたのかもしれない。「パワフルな女性らしさ。女性の原型というプリズムを通して、女性の強さを探求したかったのです」。

コレクションは、クラシックと破壊的なものの間のコントラストを弄び、クチュール的あるいはアーティスティックな提案だけでなく、クロップドジャケットのような、日常着に適したトレンディなジャケットなど、より商業的なアイテムも含まれていた。

セリーヌでは、マイケル・ライダーによるこの新コレクションを、今夏に発表された2026年夏ウィメンズウェアのワードローブに捧げられた最初のコレクションの継続と位置づける、独創的な戦略が選択された。

「私たちはこのコレクションを、7月のショーが実際には終わっていなかったかのような、継続であると考えました」とライダーはショーノートで説明している。この決定には2つの理由が考えられる。一つは、新アーティスティック・ディレクターのスタイルを、また別の無関係なコレクションで希薄化させることを避け、ライダーによるセリーヌウーマンの新しいイメージを強固に確立したいという願望。あるいは、まだ方向性を模索中であり、時間をかけているスタイルである可能性もある。

初のセリーヌコレクションで、ライダーはエディ・スリマン時代とフィービー・ファイロ時代（彼の2人の前任者であり、その功績は売上増につながった）の要素からインスピレーションを得ていた。したがって、この2度目のコレクションも同じ考え方に従っている。

ソーシャルメディアで、グレン・マーティンスによるマルジェラでの2度目のショー、そして初のプレタポルテコレクションから最も記憶に残るのは、歯科用開口器に似た金属製のバーを装着したモデルたちの開いた口だろう。

しかし、コレクション自体は好評を博した。新アーティスティック・ディレクターは、ブランドの主要セグメントであるテーラリングに焦点を当てた。彼のシルエットはウェアラブルで、「実生活」のためにデザインされており、丸みを帯びた肩を持つ袖の構築が繊細であった。

継続性のコレクション

グランド・デビューのショー（シャネル、ディオールなど）に注目が集まる中、「継続性のコレクション」を選んだラグジュアリーブランドにとっての主な課題は、いかにして際立ち、再び脚光を浴びるかであった。しかし、今日の不確実な経済情勢の中では、センセーショナリズムや、何が何でも注目を集めようとする過度に派手なイメージを打ち出すタイミングではなかった。その結果、ほとんどのブランドは、落ち着いたアプローチを選択することで顧客層を安心させることを選んだ。彼らは、スキャンダルを避け、多くの国が直面している暗い雰囲気とはかけ離れたポジティブなトーンを維持する、ウェアラブルな服に焦点を当てた率直な物語を選んだのである。

そのクリエイションを通じて安定への願望を明確に表現したブランドの一つが、間違いなくサンローランである。ケリンググループ傘下のこのメゾンは、2025年上半期に業績が低下した（経常営業利益は17%減）ものの、約10年間その職にあるアンソニー・ヴァカレロの創造的な提案は変わらない。同じく幅広の肩を持つシルエット、同じく重厚なレザーピース、そしてラグジュアリーの主要セグメントであるバッグをモデルに持たせずにランウェイを歩かせるという決断も同様であった。

このショーのハイライトには、膨らんでいるように見え、ハンドバッグに折りたためそうな、印象的でカラフルなドレスや、一連の長いトレンチドレスが挙げられる。

ルイ・ヴィトンのニコラ・ジェスキエールは、いつものように、力強いストーリーテリングを中心にコレクションを構築した。今シーズンは、フランス王妃アンヌ・ドートリッシュのかつての夏の離宮からインスピレーションを得て、室内で着用するためにデザインされた服に焦点を当てた、非常に「ラウンジ」的な提案がなされた。ショーノートには、「着こなしにおける大いなる自由」や「自分のために服を着て、真の個性を明らかにすることの究極の贅沢」について語られている。

「私たちにできるのは、顧客の心の律動に従うことだけだ」とダニエル・ローズベリーはスキャパレリのショーノートに記した。彼のこの言葉は、デザイナーの空想ではなく、顧客の願望に寄り添う、より謙虚なアプローチで自社の提案を構成したいというブランドの意欲を示している。

スキャパレリ2026年春夏プレタポルテコレクションの傑出した作品の中でも、ニットによるトロンプ・ルイユ（騙し絵）が特に注目を集めた。ウェアラブルでありながらインスタグラムの画像としても強力なインパクトを持っている。

リシュモン傘下のアライアでは、ピーター・ミュリエが「エモーショナルな服」に焦点を当て、一見シンプルに見える革新的なワードローブの探求を続けた。ここでの創意工夫は驚きと感動を与え、（2025年においては稀有なことだが）新しさを感じさせる服や、玄人筋の賞賛を得るほどの技術的な偉業が見られた。

さらに、鏡張りの天井と画像を投影するデジタルフロアという舞台装置の選択は、内省と熟考のアイデアを強化し、観客に服を真に鑑賞するよう促した。これにより、ブランドが即座に認識可能なシグネチャーを確立することを可能にする、強力で特徴的な作品に注目が集まった。