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中国の景気回復が失速:振るわぬ小売、世界市場にも影響

By Angela Gonzalez-Rodriguez

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中国における景気は依然上昇傾向を見せるものの、7月に入り回復が遅れが出ている。中国内の小売業の売り上げは前年比8.5%増と予測に達せず、デルタ株感染も拡大する中で新たな経済の落ち込みが懸念されている。

Yahoo Finance(英語版)のデータによると、今年7月の中国の小売業界の実績が市場コンセンサス(11.4%)に届かないにしても、2019年の水準よりは上回るという。実際に、同国の7月の消費財の全体の売上は一昨年の同期と比較して7.2%上昇した。

また同月の中国のアパレルおよびジュエリーの売上もそれぞれ7.5%および14.3%の伸びを記録。さらに小売業の全体の売上の23.6%を占めるオンライン販売は前年比17.6%増となっており、加えて今年1〜7月の全体売上も前年比20.7%増であった。

オランダに本社を置く国際金融機関ING Bankの大中国圏担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は中国市場のデータについて、「中国経済については前向きな要素が少なく、かわりにそれより多くのリスク要因が見られる」と警告している。さらに「洪水の発生件数も増えている。新型コロナウイルスのデルタ株も感染者数が一日あたり200人未満ではあるが本土全体に広まりつつある。強い感染対策上の規制が寧波と上海という2つの隣接した都市の港湾や中国本土からの人流、ひいては夏休みシーズンの中国の国内旅行や消費にも影響を及ぼしている」と中国経済の回復を脅かす喫緊の課題を示している。

中国の製造業生産高・小売業売上が7月に急落

中国における新型コロナの変異株感染拡大および異常気象の影響により、同国の今夏前半の製造業生産高や小売業の売上が減少。その結果、これら二つの指標については、7月に著しい落ち込みが見られて市場予測に届かず、中国全体の経済回復が勢いを失っている。

中華人民共和国国家統計局のデータでは、中国の同月の工業生産高は前年同期に比べ6.4%増加となったが、市場予測(7.8%)より低い結果となった。小売業売上に関しても同様に、前年同期比8.5%増に留まり、市場予測(11.5%)には及ばなかった。

中国経済の鈍化、世界株価にも影響

小売業に関連し、今年7月の中国での消費財(有形商品)のインターネット販売売上は4.4%増加となったが、過去5年間の平均成長率(21%)を大きく下回った(CNBCによる公開データの算出に基づく)。急落の理由は、一部6月18日に中国大手ECのアリババ集団と京東集団が実施した大型セールイベント「618」の影響のほか、7月の新型コロナ関連の渡航規制や洪水・台風による物流の混乱などによるものと華興証券のマクロ戦略調査部門責任者ブルース・パン氏は説明する。なお、上記「618」イベントでは、アリババ集団と京東集団が合わせて1,365億1千万米ドルという記録的な売上を達成した。

世界第2位の経済規模を持つ中国の景気の鈍化は、各国の株式市場にも不安の影を落としている。J.P.モルガンのエコノミストであるブルース・カスマンはロイター通信に対し、「アジアにおける低いワクチン接種率や市中感染に対する耐性の低さは、同地域がデルタ株による経済的リスクが最も高い場所であることを示唆している」とコメントしている。また同氏は、「中国は政策支援の撤廃を進めている最中で、内需拡大に歯止めがかかり今年後半全体にわたってアジア地域経済も圧迫されると予想される。ここ数週間に起こったこうした状況から、2021年下期のアジアの成長予測を下げた」と加えている。

画像: 中国の商店街

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