中国の消費者、9割が代替レザーを希望—非営利団体が調査
loading...
世界の人口の2割が居住し、今年一年間のファッション業界の売上が3,830億米ドル、同業界の世界全体の44%を占めると予想される中国で最近、国際投資家にとって信じられないような新たな投資機会が急拡大している。今、中国では主にレザーを中心に従来のファッション製品素材による環境への悪影響に対する消費者の懸念が高まりつつあり、代替素材市場が躍進しているのだ。そんな中、次世代素材の開発を加速する非営利団体マテリアル・イノベーション・イニシアチブ(Material Innovation Initiative、以下MII)およびノースマウンテン・コンサルティンググループ(North Mountain Consulting Group)が今年8月に実施した調査において、中国の多くの消費者が動物由来のレザーではなくレザーの代替品を求めていることが判明し、業界全体の常識が覆されようとしている実態が浮き彫りになった。
調査は次世代レザーと呼ばれる高品質な植物由来の代替レザーを中国市場で導入するにあたり、その見通しを評価することを目的に行ったもので、対象は中国における全世代、学歴・所得レベル、民族、宗教、居住地域の消費者501人。調査では、回答者の70%が代替レザー製品の購入に強く興味があると回答したほか、その理由については、環境への配慮(72%)、品質(72%)、動物福祉(63%)、自己表現(61%)、価格(56%)を挙げている。こうした代替レザーの購入動機の把握は、効果的なメッセージ開発に役立つ。さらに、代替レザー製品の購入に興味があると回答した消費者のうち、62%がレザー製品よりも高い代金を払ってもよいと考えている傾向が示された。
出典: Chart by North Mountain Consulting Group
「消費者は自分の価値観に合う商品を買いたいと思っており、動物由来のレザーが自分の価値観と合わないことに徐々に気づき始めている。従来のレザーは温室効果ガスの排出や有害な化学薬剤による汚染、製革工場で働く労働者や周囲の住民への健康被害を及ぼす。その上、革を取るために毎年およそ14億頭もの動物が殺処分されており、多くの消費者の懸念のもととなっている。従来のレザーに比べて機能・倫理面で優れた次世代レザーという代替素材の開発は、動物を使わないレザー市場への抜本的なトランスフォーメーションにつながる」とMIIのニコール・ローリング(Nicole Rawlin)共同設立者兼CEOは語っている。
回答者のうち、次世代レザーの選好や購入意向が最も強かったのはミレニアム世代とX世代であった。(それぞれ全体の77%と75%)
出典: Chart by North Mountain Consulting Group
なお、当然のことだが、これら2世代については、次世代レザーの選好傾向も最も高い結果が出ている。
一方、従来のレザーを好むと答えた消費者(10%)はその理由について、(代替レザーと比較して)品質や安全性が優れているため、および使い慣れているためであると説明している。また、なかには品質に対する懸念から代替レザーを選ばないとする意見も見られた。
ノースマウンテン・コンサルティンググループ創設者兼主任研究科学者のケリー・セイダ(Keri Szejda)氏は、「今回の調査では、私が見てきたなかでも代替レザーに対する最も高い支持率が示された。従来のレザーよりも次世代素材を選ぶと答えた回答者は90%に上ったほか、購入傾向も70%であった。この調査は、次世代レザーが中国の都市部で大規模に導入されれば幅広い消費者に受け入れられるであろうということを示唆している」とコメントしている。
調査の全容や調査方法、回答者の属性などの詳細はこちらのサイトに掲載されている。 また、リンク先のサイトではMIIとノースマウンテン・コンサルティンググループが実施した米国市場における同様の調査結果についても公開されている。(いずれも英語のみ)
本記事の英語原文はマテリアル・イノベーション・イニシアチブ(MII)社によりFashionUnited向けに執筆されたものです。MIIはファッション・自動車・家庭用品産業向けの高機能でよりサステナブルな素材の開発を促進する非営利団体です。