トレンドを超えるファッション:2026年上半期 国内ファッション・テキスタイル展示会まとめ
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東京だけでなく金沢、京都の国内の展示会では、森英恵やオム プリッセ イッセイ ミヤケなどのブランドから20世紀の歴史、さらにはテキスタイルに関してまで幅広いジャンルのファッションの展示会が行われている。
2026年上半期の展示会のラインナップでは、ファッションが単なる流行ではなく、社会の常識に問いかけるツールであったり、過去の時代の象徴としての役目を果たしていることが一目瞭然だ。本記事では、開催時期順にファッションとテキスタイルの展示会を紹介する。
- アペルト20 津野青嵐 共にあれない体
2025年10月18日~2026年4月12日|金沢21世紀美術館 - つぐ ミナ ペルポネン
2025年11月22日~2026年2月1日|世田谷美術館 - キュレトリアル・スタディズ17:日常の二重性
2025年12月11日~2026年3月8日|京都国立近代美術館 - 綾錦 ―近代西陣が認めた染織の美―
2025年12月20日~2026年2月1日|根津美術館 - Amid Impasto of Horizons ―積み重なる地平―
2026年1月3日~2月25日|ISSEY MIYAKE GINZA/CUBE - タペストリーと絨毯/織物と馬
2026年1月6日~3月3日|文化学園服飾博物館 - こころときめく☆キラキラ&リボン/デニム・ヒストリー
2026年4月3日~6月22日|文化学園服飾博物館 - 生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ
2026年4月15日~7月6日|国立新美術館 - 拡大するシュルレアリスム
2026年4月16日~6月24日|東京オペラシティ アートギャラリー
「アペルト20 津野青嵐 共にあれない体」 2025年10月18日~2026年4月12日 金沢21世紀美術館 (石川県)
デザイナーの津野青嵐は、看護大学卒業後、精神科病院に勤務しながら、哲学的にファッションを学ぶスクール「ここのがっこう」に通った経緯を持つ。この展示会では、既製服が隠喩する「健康」や「標準」といった基準やS、M、Lといったサイズ表記に問いを投げかける作品が並ぶ。2018年、ヨーロッパ最大のファッションコンペティション「ITS」のファイナリストに選出されたドレス、「Wandering Spirits」も展示されている。
「つぐ ミナ ぺルポネン」2025年11月22日~ 2026年2月1日 世田谷美術館(東京)
デザイナー、皆川明によるブランド「ミナ ぺルホネン」の展示会。ミナ ぺルホネンのファッションアイテムは、オリジナルのテキスタイルを中心として作られている。タイトル内の言葉「Tsugu」が「受け継ぐ」、「つなぐ」、「伝える」といった手仕事を表す言葉を象徴しているように、展示会ではアパレルのプロダクトやテキスタイルだけでなく、生地を仕上げるための手仕事や、工場の様子にも焦点を当てている。
「キュレトリアル・スタディズ17:日常の二重性―テキスタイルの表現からみる― 」2025年12月11日~2026年 3月8日 京都国立近代美術館 (京都)
同展示会は、布や織物といった素材の表現の可能性を、日常と身体の視点から模索する展示会となっている。布を用いて作られた造形ではなく、布の素材そのものや構造、縫い目に焦点をあて、それらの象徴する身体の概念や、服つくりに費やす労働、コミュニティといったテーマを掲げている。
「綾錦 ―近代西陣が認めた染織の美― 」2025年12月20日~2026年2月1日 根津美術館 (東京)
無意識や夢のイメージを拡張していく東京オペラシティのシュルレアリスム展に対し、根津美術館の本展は、意匠と技法の積み重ねによって磨き上げられた「現実の美」や桃山や江戸の「過去の美」に向き合う展覧会といえる。
1915年から1926年にかけて開催された染織の展覧会の名品図録「綾錦(あやにしき)」に収められた作品を、根津美術館が現存する約20点の実物として展示する特別展。「綾錦」は、大正時代に西陣織物館が古今東西の優品を取りそろえて陳列した展覧会を記録するために制作された染織図案集で、細密な版画で布や糸の質感を再現している。本展では、初代・根津嘉一郎が収集した華やかな染織作品を通じて、近代における西陣の美意識と技術の高さを紹介。また、同時開催として磁器や初釜(茶道具)などの展示も見ることが可能。
「Amid Impasto of Horizons —積み重なる地平—」展 1月3日~ 2月25日 銀座Cube (東京)
本展示会では、オム プリッセ イッセイ ミヤケの2026年春夏コレクション制作における過程を可視化する場となっている。FashionUnitedの過去のインタビュー記事に記載されている通り、同コレクションは世界各地を巡りながら色彩や布を観察するプロジェクト、「Open Studio」を土台に制作が行われた。展示空間には土地で得た色彩感覚や、風景のレイヤーを想起させる造形が反映されている。
試作段階の衣服や素材実験の痕跡などが展示されており、会場を通して服づくりの偶然性や予想できないプロセスを身をもって体験することが可能である。
「タペストリーと絨毯」と「織物と馬」 : 2026年1月6日~3月3日 文化学園服飾博物館(東京)
本展は、空間装飾としての歴史的なタペストリーとカーペットの魅力を紹介するもので、欧州の宮殿を飾った壁布や、遊牧民の実用的な敷物、宗教的文脈の祈祷用布など、世界各地の多様な布文化を一堂に展示する。
また、同館の企画として干支の「午(うま)」にちなんだ布と装飾品を集めたセクション「馬をめぐる布」も同時開催。馬の模様をあしらった着物やテキスタイル、乗馬用ドレス、鞍掛(くらかけ)、馬の尾毛を用いた装飾品など、馬にまつわる染織資料を通じて、文化とモチーフとの関係性を探る内容となっている。会場では、普段は家具や衣服の一部として機能していた布が、芸術的価値と歴史的背景を持つ表現として再提示される。
「こころときめく☆キラキラ&リボン」と「デニム・ヒストリー」2026年4月3日~6月22日 文化学園服飾博物館(東京)
文化学園服飾博物館では、リボン装飾にまつわる展示と、デニムに関する展示が4月から6月まで同時開催される予定。第一次展示室が会場の「こころときめく☆キラキラ&リボン」では、リボンがモチーフとなっている柄や、光沢感のある素材を使った服を展示する予定だ。日本やアフリカ、ヨーロッパなど、世界各国の伝統的衣装を通して、リボンやきらきらとした装飾を利用した幅広い表現方法、意味合いを紹介する。
第2展示室では、デニムの歴史を追う展示が開催される予定。労働者の作業着として着られていたデニムジャケットやパンツが、時代を追うことに日常の服へと溶け込んでいく過程を振り返る。1940年代の貴重なデニムジャケットや、デニムを利用したデザイナー作品などが展示される予定。
「生誕100年 森英恵 ヴァイタル・タイプ 」2026年4月15日~7月6日 国立新美術館(東京)
アジア人初パリ・オートクチュール会員となったデザイナー、森英恵の没後初となる回顧展。タイトルにある「ヴァイタル・タイプ」とは、高度経済成長期の日本で家庭を持ちながらもデザイナーとしての地位を築いた、森英恵のアイコニックな人物像を表している。
展示会では、同デザイナーが1977年から27年間作り続けたオートクチュールコレクションがテーマごとに展示される。さらに、日本航空やオリンピック日本選手団などの制服、インドや中国の素材や技術を取り入れたコレクションである、「Hanae Mori Made in India」と「Hanae Mori Made in China」も見ることができる。展示アイテムは計400点と、大規模な展示会となっている。
「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」 2026年4月16日~6月24日 東京オペラシティアートギャラリー(東京)
「シュルレアリスム」は、無意識や夢を通じて理性や道徳の枠から超えた現実を探求する、フランスを中心とした1920年代の芸術運動を指す。シュルレアリスムは、ダリなどの有名な絵画だけでなく、ファッションや雑誌、広告などにも影響を及ぼした。この展示会では、シュルレアリスム運動がどのように商業分野にも浸透したかを紹介する。