記事の著者 Sena Terui
FashionUnitedのインターンとして、編集・マーケティング業務に携わり、日本市場向けのコンテンツ制作をサポート。これまでコミュニケーション、リテール、イベント運営といった多岐にわたる分野での経験を持ち、オランダのクリエイティブ機関FashionClashでの活動や、Wooly Magazineを通じた日本での編集プロジェクトなどに携わった。
円安、賃金低下、物価上昇にも屈しない日本ラグジュアリー市場
日本国内の一般的なファッション・繊維市場 は90年代から衰退し始め、コロナ禍を機にさらに縮小した。近年で緩やかな回復がみられるものの、未だにコロナ以前の市場の大きさには達していない。 一方、国内のラグジュアリー市場に目を向けると、円安にも関わらず過去5年で大きな成長がみられる。コンサルティング会社の矢田経済研究所によると、2023年のラグジュアリー市場規模は多くの分野でコロナ禍前を上回る水準に達し、特に衣料品市場の成長率は169%増となった。また、2024年のLVMHの年次決算では、日本市場の売り上げはなんと全世界の売り上げの10%をも占め、市場の成長を裏付けている。この拡大は新富裕層の拡大や外国人観光客、また若年層の間での「ご褒美消費」によるものだと思われる。 しかし今、高級品市場は...
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安価な服は輸入、高品質素材は輸出 数字が示す日本ファッション産業
近年の日本のアパレル市場は、コロナ以前の9兆円台には届かない状況が近年続いている。 この現象の理由の一つとして、繊維産業における労働力不足が考えられる。繊維産業の平均年収は581万円で、全産業平均を上回っている一方で繊維産業の賃金は依然として全産業平均および製造業平均を25%以上下回っている。 また、日本人の購買力低下も理由として挙げられる。人口減少と高齢化により衣料品の購入枚数自体が減り、さらにユニクロをはじめとする耐久性の高い衣料品の普及によって買い替え頻度が落ちている。また、百貨店の衰退や中価格帯ブランドの消失に象徴されるように、国内ファッションの“中間市場”が徐々に縮小し、消費者の選択肢も変化している。 企業ランキングの変化 国内市場が市場が縮まる中で、ユニクロやアシックス売り...
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知っておくべき日本のファッション・繊維団体 5選
日本のファッション産業は、素材開発、アパレル生産、文化発信、環境対応など多様な領域が重層的に結びつくことで成り立っている。アパレル製品よりも繊維素材の輸出額が大きいこの“素材輸出国”では、円安下の今、その強みの国際的認知をいかに高めるかが産業全体の競争力に直結する。本稿では、日本のファッション・繊維業界を担う5つの団体を紹介する。 1. JFW推進機構::日本のファッションを世界へ発信する団体 一般社団法人日本ファッションウィーク(JFW推進機構)は、日本の繊維・ファッション産業の海外進出や国際競争力の向上を目的に2005年に設立した。かつての国内のファッション協会の世界的な認知度の低さを克服するため、同機構は東京のファッションシーンを世界に発信するためのファッションイベントを企画した...
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目的別にみる 日本のファッション・服飾専門学校ガイド
日本国内には多数の服飾専門学校や大学が存在するが、学校の強みや特徴、プロフェッショナルを目指すまでの過程がそれぞれで異なる。「なぜその学校が選ばれるのか」「どんなプロフェッショナルに成長できるのか」といった読者の問いに答えるため、本記事では技術性や国際性、得られる資格、企業との関わりといった観点から国内の服飾系の学校をジャンルごとに紹介する。 服づくりの技術重視 Redress x TAL Ecodesign Challenge participants work on a garment. クレジット: Redress. ファッションの原点は“服づくり”にある。以下で紹介する2校では、パターンメイキング、縫製、素材研究、立体構成といった基礎技術を高いレベルで身につけることができる。ま...
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