2021年春夏デニム のキー・トレンド
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二年に一回開催されるデニム業界の展示会「キングピン(Kingpin)」が今年10月23日〜24日の二日間、オランダ・アムステルダムにて開催された 。
キングピンの開催を受け来シーズンの消費者動向についてデニム関係者の関心が高まる中、世界のデニムトレンドをテーマにしたフォトブック「Denim Dudes」の著者エイミー・リバートン(Amy Leverton)とサム・トロットマン(Sam Trotman)が10月23日、講演を行い、デニム関係者や愛好家を対象に2021年春夏の4つのキー・デニムトレンド予測を解説した。本誌ではそのハイライトを紹介する。
エコ・ワンダラー
サステナビリティは現在のファッション業界の最大のテーマであるが、その傾向は20201年春夏のデニムトレンドでも継続するとみられる。「エコ・ワンダラー(Wanderer、“放浪者”や“ハイカー”を指す英語)」と呼ばれる、健康志向でエコ・ファッションに興味があり、タイダイや花柄、ウォッシュドルックなどの環境に優しくナチュラルテイストな素材・模様・色使いを好む消費者が増えてくることが予想される。
「エコ・ワンダラー」は70年代のヒッピー文化に製品寿命を長くする最新鋭の素材を取り入れるなど、古いものと新しいものをマリアージュさせて新しいスタイルを作り出すのが特徴。染色に関しても環境への影響に対する懸念から、天然由来染料の使用も重要視されるだろう。しかもただ自然のものに切り替えるというのではなく、「自然な染料を使い、見た目もナチュラルに仕上げる」というのが「エコ・ワンダラー」のこだわりだ。色使いもブルー、グリーン、ラベンダー、サンシャインイエロー、アースブラウンなど明るめで自然を感じさせるカラーが好まれる。
テクウェア
スポーツやテクノロジーの進化に刺激を受けて登場した「テクウェア」は第四次産業革命の潮流に超近代風のツイストを加えつつ、次世代ファブリックやリバートンとトロットマンが「サバイバル・テーマ」と呼ぶ高適応性で軽量な製品設計を追求したスタイルだ。
大胆かつ遊び心に溢れ、1990年代から2000年代のデジタルブームの影響を受けて進化した「テクウェア」は粗削りで実験的なイメージがある。デジタルでミスマッチなルックス、中国のドラゴンなどの大味なモチーフ、燃え上がる火のようなギラギラとして不調和な色使いや模様、テクスチャーなどを取り入れるのが特徴。またオーバーサイズで、鮮やかな色をダークカラーやシルバー、グレイなどと合わせた人工的な色使いのデザインも目を見張るものがある。
フェーデッド
90年代のリバイバルは新しいトレンド模索のアプローチとしてありがちだが、2021年春夏はデニムピンなど90年代定番のアイコンを外し、着崩したルックスと正統派デニムスタイルを追求した「フェーデッド」が復活する兆しだ。
90年代へのカウンターカルチャーとも言える「フェーデッド」スタイルは、90年代のグランジ&スケータールックをベースにしつつ、ルースでシンプルな見た目にグラーデーションプレイツやポケットなどの実用的なエレメントを合わせるのが特徴。ボクシーな造形、デストロイドヘムライン、大型のポケットなども流行しそうな気配。色使いはトラディショナルなインディゴカラーやウォッシュアウトカラー、赤やグリーンなどの中間色が中心になりそうだ。
ジェントルブルース
伝統的なジェンダーや文化にもとづいたドレスコードを覆したスタイルの「ジェントルブルース」。昨今のコレクションでは男性を意識したソフトなタッチのテーラリングや着心地のよいアイテムが次々と登場しているが、デニム業界でも特にメンズ向けのロマンチックあるいはエレガントなラインが注目を集めそうだ。ルックスはラグジュアリーなミニマリストテイトで、型はダサゆるだが上品さもあるストリートウェアといったところか。色味は柔らかなシルエットや素材感にマッチし遊び心が満載で引目なインディゴやパステルカラー、ウォッシュアウトカラーにエッジの効いた明るめの色を少し混ぜるのがポイントになりそうだ。
写真クレジット: FashionUnited