テーマは“game”。今回の「ピッティ・ウオモ」は遊び心がいっぱい
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フィレンツェが新たなファッションシーズンに輝いている。ファッション業界は引き続き厳しい状況が続く中、メンズ見本市「ピッティ・ウオモ(Pitti Uomo)」には全体的に好調なムードが漂っていた。104回となる今回の「ピッティ・ウオモ」では、“Pitti Games”をテーマに、遊び心あふれるプレゼンテーションが多く見られた。
主催者であるピッティ・イマジーネ(Pitti Immagine)によると、出展社は825社にのぼり、来場者はおよそ1万2千人となったという。うち40%はイタリア国外からの参加だ。2022年夏開催に比べ、イタリア国外バイヤーは20%増、国内バイヤーも5%増えた。こうした数値はコロナ前の水準に戻りつつあり、ピッティ・ウオモがパンデミックから回復していると、ピッティ・イマジーネのラファエロ・ナポレオーネ(Raffaello Napoleone)CEOは説明する。
初参加ブランド
今回は「ドライコーン(DRYKORN)」や「スコッチ&ソーダ(SCOTCH & SODA)」らの復帰に加え、初参加ブランドもお目見えした。
初日にはアフリカの「チュラープ(CHULAAP)」のデザイナー、チュー・スワンナパ(Chu Suwannapha)が小規模なプレゼンテーションを行った。スワナンパはプレゼンテーションについて多くのポジティブな反響があったとしている。
ドイツのパンツブランド「ロッシ(ROSSI)」を経営するトバイアス・シェレンベルガー(Tobias Schellenberger)もまた、今回デビューを飾った一人だ。すでに次回の参加も見据える「ロッシ」のショーは来場者たちからも反応がよかったようで、日本をはじめ複数の国のバイヤーと商談があったとのことだ。
スポーツとファッションの融合
一方、スポーツウエアも引き続き人気で、ファッションに取り入れるケースもますます増えている。
水着ブランドの「アリーナ(ARENA)」は「ウールマーク(WOOLMARK)」とコラボしたメリノウールの水着のほか、Tシャツやオーバーオール、ベストなどを披露した。
また従来アパレルを専門としてきた会社が、スポーツウエアを展開するケースも見られた。スペイン発のサステナブルファッションブランド「エコアルフ(ECOALF)」はヨガや自転車用のサイクルウエア、ランニングやサーフィンの新しいラインを発表した。加えて、サッカースペインリーグのFCバルセロナの選手が2024〜2025年度に着用する正装を提供するイタリアの「ヘルノ(HERNO)」からは、アクセサリーにヘッドバンドを使ったルックスが登場した。
アメリカンドリームから、マリンモチーフまで:ピッティのトレンド
多くのブランドが水着を披露したが、海にインスピレーションを得たファッションも際立った。イタリアの「ポール シャーク(PAUL SHARK)」による青いストライプのシャツやデッキシューズをはじめ、ノーティカルなルックスは夏のビーチで過ごすバケーションに欠かせないアイテムだ。「チュラープ」もマリンモチーフをあしらったスーツやシャツ、パンツを発表。さらに魚の形のバッグや蛸のバックル付きのベルト、大きな羽根がアクセントの海賊風ハットも加わって、コレクション全体で海を表現した。
従来同様、今回のピッティ・ウオモでもまた、ゲストデザイナーによるショーや特別プログラムが開催された。イタリアの「フェンディ(FENDI)」はトスカーナの新工場でメンズウエア・コレクションのショーを開いた。また、米のイーライ・ラッセル(Eli Russell)が手がける「ERL」はニューヨークの自由の女神を彷彿とさせるネオングリーンのステージでシルバーグレーを全体的に使った新作コレクションを披露した。