高級時計、ニッチな “マイクロブランド”続々参入

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高級時計、ニッチな “マイクロブランド”続々参入

時計ブランド、ダン・ヘンリー(DAN HENRY WATCHES)が発表した調査レポートによると、高級時計市場の拡大によりある新しい“トレンド”が起こっているという。−マイクロブランドと呼ばれるニッチな小ブランドの参入だ。

ファッションアイテムや男性向けアクセサリーとして100年以上の歴史を持つ高級時計業界だが、21世紀最初の10年間においては市場が縮小傾向にあった。しかし昨今、ロレックス(ROLEX)、オメガ(OMEGA)、ブライトリング(BREITLING)などの高級腕時計ブランドが市場の懸念を他所に拡大し、2018年の米国における1000ドル以上の高級時計の売上は前年比13.5%増に伸長した。

腕時計専門オンライン情報誌「Hodinkee」は、「米国の高級腕時計市場は3年間のスランプを脱した」と報告している。

腕時計1500本以上を所有する腕時計コレクター歴30年のヘンリーは、高級腕時計市場の復活と価格の上昇は「“マイクロブランド”と呼ばれる小規模ブランドの成長を後押ししている」と話す。“マイクロブランド”とは、商品を万単位で生産するグローバルブランドとは異なり、高品質の商品を数百個単位で生産し低下価格で提供する小規模企業のことだ。

「マイクロブランドは熱心な時計愛好家や職人が立ち上げることが多い。ローカル発の小規模デザイナーがアパレル業界に変化をもたらしたように、高級時計業界においてもマイクロブランドがこれまで厳格で閉鎖的だった業界に新風をもたらすのではないか」とヘンリーは語る。

また ヘンリーによると、一般的にマイクロブランドはその創始者が業界経験者のため、業界最大のインフルエンサーであるコレクターの嗜好を捉えた商品を作れるという。

マイクロブランドが発展した要因には、1)デジタルネイティブ(生まれた頃からパソコンなどデジタルメディアがある環境で育った世代)からの支持、2)低い事業コスト(ネット販売中心)、3)広範囲な販路(グローバル物流企業の起用)、4)低コスト(あるいはコストゼロ)のマーケティング(SNSの活用)などが挙げられる。こうした要因を背景に、マイクロブランドはより高品質な商品の開発と低価格での販売実現に向けて経営資源の集中化が図れるのだ。

前述のヘンリーもまた自らマイクロブランドを立ち上げた一人。彼が画像共有サイト、インスタグラムで掲載した時計を購入したいという問い合わせを受けたことをきっかけに、ウェブサイト(www.timeline.watch)を開設し自身のコレクションの公開を始め、やがて自分の好きな時計をもとにした独自のマイクロブランド(DanHenryWatches.com)を立ち上げることとなった。

ヘンリーの作る時計はビンテージテイストのデザインが多いが、機能や製造手法は最新鋭の技術を使っている。2016年の販売開始当初は4種類のみの販売だったが、現在では全16種類、カラーも複数に増え、グローバルに販売している。さらに今年から2カ月に一度新商品を発表する計画だ。売上も初年度から数年間の間に倍増した上、マーケティングコストもかかっていない。

ヘンリーはブランドの成功を左右するのは、「マーケティングではない」という。むしろ、「顧客に近い存在であるマイクロブランドの企業家達が、いかに顧客の求める商品を安価に作れるかにかかっている」とヘンリーは分析する 。

大手高級腕時計ブランドはSIHH(SALON INTERNATIONAL DE LA HAUTE HORLOGERIE、ピアジェ(PIAGET)、ユリス ナルダン(ULYSSE NARDIN)などの高級ブランドが出展する国際高級時計見本市)などのへの参加で引き続き売上を拡大している。スマートウォッチが登場した当初は苦戦を強いられると見られたが、その成長に陰りが見られることは当分なさそうだ。

写真提供: PR Newswire