「自分でつくる“環境にやさしい”ジーンズ」、リーバイス、新サービス開始。
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アムステルダム– リーバイス(LEVI’S)は環境負荷の低い レーザー仕上げ加工技術を使い、客が自分の好みに応じた「環境にやさしい」ジーンズをカスタムオーダーできるサービスを開始する。新サービスは同社のウェブサイトの機能として提供される。
リーバイスのマーク・ローゼン(Marc Rosen)=ダイレクト・トゥ・コンシューマー・プレジデントが15日に世界小売業者会議で発表した新サービスは、同社のウェブサイトを訪れたユーザーが自分で選んだ無地のブルージーンズをベースに、好みの色やオーバーダイ、ダメージのレベルなどを自由にデザインできるというもの。サービスは今秋、米国向けに展開される予定だ。
いまの消費者にはTシャツのカスタムやデニムの刺繍は物足らない。「消費者は新しいカスタムオーダーを求めている。自分だけのユニークな商品を自分でデザインしたいのだ」とローゼン氏は話す。新サービスではリーバイスのF.L.X (future-led execution) レーザー仕上げ加工技術を使い加工工程で使用する化学薬剤量を減らすとともに、これまで手作業でジーンズ一本あたり18〜20工程、合計12分かかっていた破り加工を一本あたり3工程、90秒で完成させることができる。
店舗を「ショールーム」から「コラボレーションスタジオ」に
新サービスのもうひとつの利点は、従来工場で行っていた仕上げとカスタマイズ工程を消費者により近い実店舗で行えるということだ。ローゼン氏いわく「店舗は商品の“ショールーム”から“コラボレーションスタジオ”に変わっていく」と言う。
「従来型の店舗では客が店舗に来てあらかじめ用意された最終商品の中から自分の好みのものを選ぶ。しかし“コラボレーションスタジオ”では訪れた客がジーンズという何も描かれていないキャンバスをベースに、自分だけの商品をデザインすることができる。そうすることで当社のスタイリストや裁縫師の役割が一層重要度を増し、彼らが持つジーンズカスタムの技術を消費者と共有することが可能となる」とローゼン氏は説明する。
また、新サービスは小売にとってもリスクを軽減できるというメリットがある 。これまで小売業者の意思決定プロセスは初期段階での消費者嗜好の予測に頼ってきたが、今回のような消費者によるカスタムメイド型サービスでは消費者が実際に何を望むかを理解した上で意思決定をすることが可能。ローゼン氏も「新サービスは当社のマーケティング活動を“すでにある商品の販促”から“いかに消費者に自分の欲しいものを作らせるか”という視点に転換するもの」と話している。
2019年世界小売業者会議はオランダ・アムステルダムで5月14日〜16日に開催され、世界55カ国1400人が参加。 FashionUnitedでは今後も本イベントの記事を掲載していきます。
写真提供: World Retail Congress