ステラ・マッカートニーとアディダス、リサイクル可能な「循環型スポーツウェア」を発表−素材にも廃材利用
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ステラ・マッカトニー(STELLA MCCARTNEY)とアディダス(ADIDAS)が「循環型スポーツウェア」の開発を進めている。2社は昨今、衣料品の廃材から作った100%リサイクル可能なユニセックスのフーディー「インフィニット・フーディー(The Infinite hoodie)」 を発表した。同商品は廃棄衣料品から繊維を作る技術「ニューサイクル(NuCycl)」で知られるエバニュー(EVRNU)社が作った繊維「ナイサイクル(NyCycl)」を素材に使用する。
新しく発表されたコレクションには試作段階のテニスドレスもある。生物工学を応用したサステナブル素材を開発するボルト・スレッド社(BOLT THREADS)と共同開発中のもので、セルロースを混ぜた紡績糸とマイクロシルク(Microsilk)と呼ばれるたんぱく質由来の繊維を使った初のテニスウェア。マイクロシルクは水や砂糖、イーストなどの再生可能な物資を原料とする生分解性の素材だ。
世界で廃棄される衣料品は年間約9200万トンにも上るという。こうした現状を背景に、ステラ・マッカートニーとアディダスはアスリートのみならず広く世界にも貢献できるサステナブルな製品の開発に着手した。アディダスは2019年後半にも海洋プラスチック廃棄物から作った素材「パーリーオーシャンプラスティック(Parley Ocean Plastic)」を使い1100万足のシューズを製造するとしている。また2024年までに製品に使用する素材をすべてリサイクルポリエステルに移行すると宣言している。
アディダスのジェームズ・カーンズ=グローバルブランド戦略本部長は「プラスチック廃棄物を使った製品の開発は我々にとって最初の一歩。次の課題は『ゴミ』という概念の排除。3つの主要分野に集中し、100%リサイクル・生分解可能な製品の開発を目指す。我々にとって答えのないことも多く、1社単独では出来ないこともあるが、エバニュー社やボルト・スレッド社などビジョンが共通する企業と連携し、当社スポーツ用品分野の専門知識と他社の技術とを融合させることでゼロ廃棄物社会を実現していきたい」とコメントしている。
ステラ・マッカートニーは今回のコレクション発表について「ファッションは、環境への害が最も大きい産業の一つ。解決策や代替案の模索にこれ以上時間を費やす余裕はない。廃棄衣料品問題の解決に向け真に開かれた取り組みを行うことは、業界全体における持続可能な事業運営の実現に貢献する。アディダス・バイ・ステラマッカートニー(adidas by Stella McCartney)は高い機能性と未来の地球への配慮を両立する製品を作り出している」とのコメントを発表している。
新コレクションのフーディーおよびテニスドレスは同じく環境配慮型の素材や製造技術を用いた商品を扱うアディダス・バイ・ステラマッカートニーの2019秋冬コレクションと同時に発売となる。
写真: アディダス・バイ・ステラマッカートニーのインフィニット・フーディー(撮影:ドミニク・ティエム)とバイオファブリック・テニスドレス(撮影:ガルビン・ムグルーザ)。写真提供:アディダス