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ケリング、動物福祉に関する新ガイドライン策定

By Danielle Wightman-Stone

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ファッション

グッチ(GUCCI)やサンローラン(SAINT LAURENT)を傘下に持つ仏の複合会社ケリング(KERING)はこのほど、動物福祉に関する新しいガイドラインを策定した。ガイドラインは同社製品のサプライチェーンのすべての工程に適用される。

「ケリング動物福祉基準(The Kering Animal Welfare Standards)」の名称で発表されたガイドラインは、同社にとって初のラグジュアリーおよびファッションブランド事業における動物の倫理的な扱いを全般的に網羅した規定。業界全体だけでなく広く社会に動物福祉を訴求することを狙いとして策定された。

ケリングでは以前より事業の持続可能性についての積極的な開示に努めている。今回のガイドラインはその一環として同社が専門家、畜産業者、研究者、NGOの協力を得て3年がかりで策定したもので、サプライチェーンで使用する牛、羊、ヘビ、ダチョウ、ワニなどすべての動物を対象としている。

具体的な基準は最新の科学的知見、政府法案、類似基準、他業界の成功事例などをもとに検討された。基準の第一段階では牛・仔牛、羊、ヤギなどの動物についてそのすべての肥育過程に関する規定から畜殺場に関する指針まで詳細にルール化されている。

また新ガイドラインは、動物を餓えや苦痛、病気などから解放することなどが盛り込まれている国際的動物福祉の基本「5つの自由(Five Freedoms)」をその前提に据えている。

新しい動物福祉に関するガイドラインを発行したケリング

ケリングのマリー・クレール・ダヴー(Marie-Claire Daveu)=チーフ・サステイナビリティー・オフィサー兼国際機関渉外担当責任者は新ガイドラインの策定にあたり、「動物福祉の向上は業界の使命。当社はグローバルサプライチェーンにおいて一部の希少種だけでなく 、家畜を含むすべての動物が擁護されることを強く期待している」とコメントしている。

また同氏は、「新ガイドラインは当社会長兼最高経営責任者であるフランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)の方針であるサステナビリティへのホリスティック(全容的)なアプローチに則り、サプライチェーンで使われる動物のみならず動物が住む自然環境や生物多様性の保護に関する取り組みまでも対象としている。本ガイドラインを当社取引先や業界他社、業界全体、ひいては食品産業にわたるまで普及させ、動物や自然により優しいサプライチェーンの実現につなげたい」と加えている。

ケリングによると新ガイドラインはすでにいくつかの地域の農場で試験的に導入されており、当該農家と“引き続き緊密に協働し、” 本格的な導入に向けて支援していくとしている。

新ガイドラインの一例(ヤギに関する項目)

新ガイドライン「ケリング動物福祉基準」はブロンズ、シルバー、ゴールドの3つの順守レベルで構成されている。ブロンズは最低レベルの基準を表すが、中には欧州の政府規定よりも高い条件を課しているものもある。最高レベルのゴールドは業界の中で革新的な“ベストプラクティス”とされる極めて厳しい基準となっている。

ゴールド基準の例には、「(動物の生活の質向上の観点から、)肥育場(フィードロット)や集約的肥育の禁止と牧草地での飼育奨励」や「生草などの自然飼料による肥育の推進と大量肥育を目的としたヒト用栄養剤由来の飼料の使用禁止」、「輸送時の厳格な取り扱いルール」「使役動物の福祉に関する取り組み」「(ヒトに対する耐性菌予防のための)低容量抗菌剤の投与の禁止」などがある。

画像: Gucci Facebook

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