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「再販市場はラグジュアリー業界への脅威ではない」米仏の市場調査結果より

by Robyn Turk
2019年10月31日

ラグジュアリーブランドは消費者の中古ファッションに対する関心の高まりを「脅威」とみなすのではなく、むしろ歓迎すべきだ。「シャネル(Chanel)」などのブランドが近年急成長する「ザ・リアルリアル(The RealReal)」や「ワット・カムス・アラウンド・ゴーズ・アラウンド(What Goes Around Comes Around)」のようなリセール(再販)ビジネスに反対を表明する中、リユース市場が新たな顧客開拓を通じてラグジュアリーブランドの売り上げに貢献することが米大手コンサルのボストンコンサルティンググループ(Boston Consulting Group、 以下、BCG)と仏の大手再販サイト「ヴェスティエール・コレクティブ(Vestaire Collective)」との調査で検証された。

2社は、2018年にヴェスティエールの顧客1000人以上を対象に行われた調査および今年BCGが行ったアンケートに参加した消費者12,000人の回答をもとに、加熱する再販市場がラグジュアリーブランドに与え得るメリットを分析した。

ラグジュアリーブランドの顧客開拓メカニズムとして機能する「再販ビジネス」

高級品志向の消費者が多い再販市場はラグジュアリーブランドの潜在顧客の開拓を後押ししている実態が調査で明らかになった。調査ではリユース品の購入経験者の71%が「再販で新品は買えない高価なブランド品を購入している」と回答。このことから、購買力次第でリユース品から一次流通の高級品へと移行するポテンシャルを持つ消費者が集まる再販ビジネスはラグジュアリーブランドにとっても新規顧客獲得のための有効なツールとなる可能性が示唆された。

同様に、特定のブランド品の購入に関する質問では、そのブランドで最初に購入したアイテムがリユース品だったと回答したのは全体の62%で、そのうちほとんどが「同じブランドの商品をまた購入したい」と答えているほか、「将来的に(一次流通の)新品を購入したい」と回答した消費者も57%だった。

二次流通の売り手は「一次流通の買い手」

「二次流通の買い手と売り手は同じ消費者ではない。」そう説明するのはBCGのオリビエ・アブタン(Olivier Abtan)マネージングディレクター兼パートナー。「一般的にリユース品の購入者は一次流通のブランド品には手が届かないまでも、リユース品をブランド購入の導入品として購入している層。対して売り手側はもともとラグジュアリーブランドの購買客であり、新しい商品を定価で買うための資金作りのためにリユース品を売っている」とアブタン氏は言う。

リユース品を売りに出す消費者は通常再販で得た資金を新しい一次流通品の購入へと再投資する。この手の消費者は中古品を買わないとされ、ヴェスティエールのサイトでも売上の7割が自身では普段リセール品を購入しない出品者の商品によるものだ。

つまりラグジュアリーブランドが再販市場を支援することは、ひるがえって彼らの既存のターゲット層による新たな一次流通品の購入につながることが今回の調査で示されたことになる。実際、調査でもリユース品の販売者の44%が「再販サイトの利用を始めてからより高価なブランド品を購入するようになった」と回答したとの結果が出ている。

二次流通はサステナブルファッションを加速する

アパレル各社が廃棄衣料品問題への取り組みを続々と展開する中、ファッション・リセール(再販)はサステナビリティとほぼ同義語になりつつある。一度使ったブランド品を次の所有者に譲る「再販」は商品の寿命を延ばし、購買行動が及ぼす環境や社会への影響に敏感な若い消費者にとって重要な選択肢となっている。

BCGとヴェスティエールの調査結果でも、1980年以降に生まれたミレニヤル世代や1990年代半ば以降生まれの「ジェネレーションZ」と呼ばれる世代は他の世代よりも消費が及ぼす影響を強く意識しており、この世代の回答者の7割ができるだけ倫理的消費をするよう心がけていると回答している。またこのうち消費の環境への影響を特に懸念していると答えたの57%に上った。

「再販市場はラグジュアリー商品の寿命を伸長させる。再販サイトに出品されるほとんどの商品は質がよく、未使用品や使用歴の浅い商品も6割を超える。ラグジュアリー品の再販を通して生まれる循環型のファッションビジネスは環境配慮型のイメージを打ち出したいブランドにプラスに働いている」とアブタン氏は述べている。

画像: Vestaire Collective