コロナ渦中 世界のブライダル業界の今
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「2名を超える集会は認めない」。海外では新型コロナウイルスの感染拡大にともない、こうした規制が施行されている。日本で冠も人数制限はないものの、大人数での宴会は自粛要請対象となっている。そんな状況では華やかな結婚式など後回しにされるよりすべがない。
すでに欧米では4月〜6月に予約が入っていた結婚式の中止や延期が相次ぎ、婚礼を控えた新郎新婦は会場・フローリスト・ケータリングなど準備の仕切り直しに頭を悩ませている。また結婚式に係る保険の契約率も30%に満たず、多くのカップルに式のキャンセル費が重くのしかかる。
ブライダル業界も混乱する。新型コロナの影響が最も深刻な国の一つスペインはウェディングドレスの輸出で中国に次いで世界二位のシェアを持つ。しかしロイター通信によると、現地の工場の多くで新規発注件数がゼロになっているばかりか、すでに受注済みのドレスについても原料や従業員が不足し出荷できない状態だという。
ブライダル・ファッションウィークも中止
毎年何百万人のバイヤーやブランドが世界中から集まるブライダル業界最大のイベントの一つ、「ヴァルモン・バルセロナ・ブライダル・ファッションウィーク(The Valmont Barcelona Bridal Fashion Week)」も今年の開催日程を4月から6月に延期した。しかし各国政府が次々に外出制限を今夏まで延長する動きの中、6月開催すら危うくなりつつある。
米国ではブライダル業界の市場規模は年間780億ドルと言われている。ウェディングドレス製造の世界トップである中国では多くの工場が今年1月から2月にかけて事業停止となりつい最近製造ラインの再開が始まったばかりだ。
さらに500億ドル規模のインドのブライダル市場は予定されていた婚礼の45%〜80%が延期または中止となっている現況を受け、今期の業績が大幅に落ち込むと現地経済誌「エコノミック・タイムス」が報じている。
ドレスの製造や輸送の遅れで最もダメージが大きいのは世界各国の小規模なブライラル・ブティックやニッチなオンライン・ドレス販売業者。しかし今後数カ月のうちにドレスの供給停滞が改善され、欧米を中心に夏場に向けて市場が復活する兆しがあるとの見方もある。
だが集会規制が続き、ソーシャル・ディスタンスで新郎新婦が誓いのキスさえできない昨今のブライダル市場に晴れの日が訪れるのはまだ先になりそうだ。
画像: 「ヴァルモン・バルセロナ・ブライダル・ファッションウィーク」