「グッチ」の新作発表スケジュールは業界の常識を書き換えるか?
loading...
「業界が踏み固めてきた区切りから離脱した新しい道」。このコンセプトのもと、「グッチ(Gucci)」はこれまでのファッションショーの実施タイミングやシーズンプログラムの見直しに踏み切った。
同ブランドのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)クリエイティブディレクターは先週末、ソーシャルメディア「Instagram」の投稿の中で「過剰な演出は今日において存在理由がない」とコメント。「グッチ 」の新しい新作発表スケジュールの方針について「使い古された季節の儀式やショーが新しいリズムへと変わっていくだろう」と説明した。
時代遅れのファッションシーズン
「グッチ 」の新方針は新作発表を季節にとらわれず年2回とするもの。これまでの「プレフォール」「cruise」「春夏」などといったファッションシーズンは“古くて時代遅れ”だと同ブランドは主張する。現に現状のファッションカレンダーにはすでに歪みが生じており持続性に乏しいため、ほかのブランドも同じような方針変更をするとみられる。
業界の体制の見直しを訴えるのは「グッチ 」に限ったことではない。今年4月「サンローラン(Saint Laurent)」は次回のパリファッションウィークについてより“顧客と距離の近い”企画を検討したいとして参加中止を発表した。
また先週にはベルギーのデザイナー、ドリス ・ヴァン・ノッテン(Dries van Noten)氏が著名なCEO、バイヤー、クリエイティブディレクターらと共同で今後のファッション業界の将来展望を提言。特に季節性のプロモーションの課題に触れ、シーズン全体でバランスの取れた商品展開を行い、シーズン終盤のセール時期を延期することで定価価格品の販売期間を伸ばすことなどを主張。そうすることで不必要な製品開発や渡航・生産上の無駄の削減も期待できるという。
「グッチ 」は以前にも男女コレクションの合同のショーを開催し、業界の先駆けとなった。今回の新作発表スケジュールの方針転換でも業界のカタリストになるのではと想定される。
「コロナ危機は我々全員に根本的な問いを投げかけている」。ミケーレ=クリエイティブディレクターはInstragramでそうコメントした。「何より、我々は自分たちが行き過ぎたことを理解している。無謀な行動で自分の首を絞める結果になっている。我々は自らが自然とは別離した存在だと思っていた。自然を奪い、支配し、傷つけたのだ。」
画像: Gucci AW20 via Gucci.com