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コロナはフォーマルウェアを滅ぼしたか?

By Don-Alvin Adegeest

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ファッション

Beforeコロナの時代には、ロンドンを旅すると言えばガラス張りの高層ビルと歴史を感じる建造物の合間に上品な服を着こなした紳士淑女があふれる賑やかな街を訪れることを意味した。上品な服とはテイラーメードのウールのスーツ、ピカピカに磨かれたオックスフォードシューズ、しわひとつないシャツ、さまざまな幅のタイ、洒落たオーバーコートのことである。

ところが今となっては、ロンドンで出会えるものと言えば静まり返った街頭で人間よりも数が多くなってしまった鳩くらいなものである。スーツを着ている人を見かけることはない。

##英国のフォーマルウェア大手が事業再生手続きを申請 先月、英国最大のフォーマルウェア販売店「モス ブラザーズ(Moss Bros)」によるCVA(英国におけるおける事業再生手続き)の申請が承認され、新型コロナ・パンデミックがフォーマルウェア市場に及ぼす切実な影響を浮き彫りにした。イベントは次々に中止となり、オフィスが閉鎖され、ウェディングも延期される現状で、前述の「モス ブラザーズ」や「サヴィル ロウ(Savile Row)」など業界はパンデミックによる影響を抑え、事業の存続を確保するために精一杯の状況だ。

「モス ブラザーズ」は英国で128店舗を営業し、従業員数は800人に上る。同社のブライアン・ブリック(Brian Brick )CEOはCVAについて「コスト・ベースをリセットし、確実な財務基盤の元にパンデミックからの復興を可能にする」とコメントするが、 業界全体としての将来的な見通しはどうなっていくのか?

フォーマルウェアブランド「チャールズ ティアウィット(Charles Tyrwhitt)」の創設者ニック・ウィーラー(Nick Wheeler)氏は、ロンドンの地元紙『シティー・AM・パブリケーション(City AM publication)』の論説で「新型コロナにより柔軟な働き方が急速に普及し、それに従って仕事着の概念が進化した」とする意見を述べいる。

###毎日が「カジュアルフライデー」 ウィーラー氏はまた「ここ数年、ロンドンのオフィスではスマートカジュアルが浸透してきた。(金曜日にカジュアルな服装で出勤するという) “カジュアルフライデー”はすぐに“カジュアルエブリデー(everyday)”になった。それまでスーツやワイシャツ、ネクタイを着ていたプロフェッショナルな男達、さらには長いことかたくなに変化を拒んできた銀行員、金融ブローカー、弁護士までもがチノパンやカジュアルシャツ、ニットを着て職場にくるようになった」と説明。

さらにフォーマルウェアの将来像について「オフィスでの会議でも、在宅勤務で自宅の寝室から出るビデオミーティングでも同じように快適に着こなせるスマートな仕事着。それが未来のメンズ・フォーマルファッション。時代を超えて色あせることのないスーツやフォーマルなドレスシャツはオフィスの定番ファッションから、大型プロジェクトのプレゼンテーションや就職面接、ウェディングなどの冠婚葬祭といった重要なイベントでのファッションになっていくだろう」と語っている。

もちろん今後世界の状況が改善し、オフィスに人が戻りイベントが再開されるようになればフォーマルウェアが再び求められ、歓迎されるようになることが予想される。

過去10カ月過ごしたZoomファッションの数だけ、おしゃれをしてスウェットにジーンズはたまた「上半身映え服」以外の一着で特別な日を迎える喜びが待っている。多くの人々が再び全身を美しく着飾れるようになれることを期待している。

画像提供:Pexels

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