進化するサステナブルスニーカー:揺らぐシューズ市場
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革新的素材、循環型の製造体制、高品質な職人技術––。これらを携えたサステナブルスニーカーがつくる新たな時代が今、シューズ業界を揺るがしている。
ポルトガルのポルトを拠点とするフットウェアブランド「ウェイズ(WAYZ)」は、自社スニーカー製造をポルトガル国内の製造者および環境配慮型の原料使用を含む倫理的な生産活動を推進する工場に委託している。ブランド名の「WAYZ」は、「ウェイブ・アット・ユア・ゼスト・フォー・ライフ(生きることへの情熱に手を振ろう)」という言葉の頭文字をとったもので、製造工程から製造者、場所、使用材料にいたるまで完全に透明性を確保しているという。
一方、ビーチサンダルブランドの「リーフ(REEF)」は、再生可能なサトウキビ製の中敷やレザーワーキンググループ(Leather Working Group)のゴールドまたはシルバー認証を取得しているタンナーにより倫理的な方法で供給されたレザーを使用した新しいサンダルを開発した。8月下旬にも同社eコマースサイトで発売する。
また、デザートブーツで知られる「クラークス(CLARKS)」は、植物性由来の原料で作ったアッパーやライニング、天然ゴム製のクレープソールを取り入れたアイコニックなワラビースタイルのブーツをはじめとする、ヴィーガンのコレクションを発売。スエードに似たような風合いを持ちながらも、環境負荷を大幅に低減できる原料を使用しているという。
パンデミックで変わる消費者意識
今年のはじめから、特にメンズ向けを中心にアウトドアシューズやサステナビリティを意識したシューズ、倫理的方法により製造されたスニーカーなどの人気が急上昇している。
110年の歴史を持つカナダのブーツブランド「コディアック(KODIAK)」は、フットウェアメーカーとして初めてシューズの製造に製造工程での炭素排出量の少ない断熱材、プリマロフトPUREインサレーション(PrimaLoft PURE insulation)を導入した。使用済みPETボトルから作られた再生プラスチック100%を原料としており、従来の断熱材と比べて炭素排出量が48%以上削減できる。
イタリアの「コイオ(KOIO)」は、世界初の環境再生型ラグジュアリーシューズメーカーを目指し、製品製造に使用するレザーを気候変動による影響を低減、さらには改善させるように管理された農場から供給している。
サステナビリティ実現に向けた、フットウェア業界の課題
靴の素材に使われる革を鞣(なめ)す工場であるタンナリーの多くでは、有害な鞣し剤が排水に流れ混んでいる。ソールやライニングには再生材ではない石油由来のプラスチックからできた成分が使用されており、さらにソールの成形技法である「インジェクションモールド」(プラスチックなどを鋳型に流し込みソールを成形する方法)と呼ばれる工程では、鋳型から削り落とされた廃棄プラスチックが問題となっている。
また、ファーストファッション同様、安い生産コストの靴は品質レベルも低く作られており、製品寿命が短くなるという結果を招いている。