「ルイ・ヴィトン」、アートバーゼルでヴァージル・アブロー追悼ショーを開催
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今月米国・マイアミで開催されたアートフェア、アート・バーゼル・イン・マイアミビーチ(Art Basel in Miami Beach、以下ABMB)に出展した「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、予定していたランウェイショーの内容を変更し、先月がんで亡くなった同ブランドのメンズ・アーティスティック・デザイナー、ヴァージル・アブロー氏の追悼ショーを開催した。
ABMBへの出展にあたり、「ルイ・ヴィトン」は当初、訪れる富裕層の顧客向けに新作商品の紹介やメンズウェアの新店舗開設発表を盛り込んだショーを計画していた。企画はヴァージル本人と彼のチームが数週間かけて準備していたが、11月2日に同氏が死去したことを受け、彼を偲びその功績を称える内容に変更し開催された。
『ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion)』誌によると、ABMBでの「ルイ・ヴィトン」によるヴァージルの追悼イベントは予算を惜しまず細かいところまで思考を凝らした演出になっていたという。開催地であるマイアミは南アフリカの富裕層に人気の別荘地でもあり、会場ではボートで訪れたゲストをシャトルヨットへと案内する通路に「ルイ・ヴィトン」のモノグラムのカーペットが敷かれた。
オープニングでは「ルイ・ヴィトン」のマイケル・バーク(Michael Burke)CEOが登場し、15年前に東京で初めてヴァージルと会った時のことを回想した。ヴァージルをまるで自分の息子のように思っていたことや、亡くなる前日に今回のABAMのショーについて話していたことも明かした。
追悼イベントにはキム・カーダシアン(Kim Kardashian)やカニエ・ウェスト(Kanye West)、シルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)、カービー・ジーン=レイモンド(Kerby Jean-Raymond)、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高責任者と同氏の家族、さらに英国『ヴォーグ』のエドワード・エニンフル(Edward Enninful) 編集長などヴァージルの友人や仕事仲間のほか業界の大物や著名人らが参加。米国中北部のウィスコンシン州で土木工学を学んでから世界有数のラグジュアリーブランドのデザイナーへと登りつめたヴァージルの偉業を振り返った。
Virgil was here (ヴァージルは此処にいた)
追悼イベントは「ヴァージル・ワズ・ヒア(ヴァージルは此処にいた、原題:Virgil was Here)」と名付けられ、今年6月に動画で発表されたヴァージルのコレクションの82ルックスに加え、スタイリストのイブラヒム・カマラ(Ibrahim Kamara)がコーディネートした新しいルックスが披露された。イベントの終わりには「ルイ・ヴィトン」のデザインチームが集まり、立ち上がって拍手を送る観客の前で頭を下げた。
「ルイ・ヴィトン」のバーク会長兼CEOは追悼イベントの開催にあたり、次のコメントを発表している。「ヴァージル・アブローの訃報を聞き、深い悲しみに包まれている。ヴァージルは友であり、偉大な協力者・創造力の天才であり、洞察力に長けた業界のディスラプター(破壊者)であったが、同時に現代における最も優れた文化の発信者の一人でもあった。彼は未来の世代のために道を切り開いた。慈善活動や彼の情熱を通じ彼のコミュニティの支援者として活躍したヴァージルは、不可能なことは何もないと信じ続けた永遠の楽観主義者だった。その精神に則り、私達ルイ・ヴィトンはヴァージルの希望通りこのマイアミでの彼の最期のショーを開催し、彼の遺したレガシーを誇りを持って称え続ける。私は彼を我が友と呼べることを光栄に思う。彼の奥様やお子さん方、ご両親、ご親族、ならびに彼の偉大さに触れたコミュニティのすべての方々に心からお悔やみを申し上げる」。