ファッションランキングは重要か?
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大手出版社コンデナスト社が発行する雑誌『Tatler(タトラー)』が今年9月号で “美の回帰。ファッショナブルなスタイルは時を超えて愛される(glamour is back and that good taste never goes out of style)”と唱い、「Best dressed list (ベストファッション・リスト)」を復活させた。しかし2022年の今、こうしたファッションランキングは重要なのか?そして、その評価をする『Tatler』とは何様なのか?
変なことに、同誌のファッションランキングの第一位に選ばれたのは、英国王室ウイリアム王子の妻、キャサリン妃だった。そのスタイルといえば、全部20世紀中盤に気高さの象徴であったあの厳格な王室のしきたりに縛られた伝統的で控えめなテイラードの服だ。しきたりの中には、フォーマルな場でつねに帽子を被るとした決まりも含まれる。その身なりの完璧さには疑う余地はないが、ロイヤルファミリーとしてだけでなく個人としてもキャサリン妃はファッションリーダーからはかけ離れているとの意見が少なくない。
毎年開催されるオスカー賞やMetガラ、ゴールデングローブ賞、MTVミュージックアワード、カンヌ映画祭といったさまざまなイベントにはニュース番組やファッション誌が訪れ、セレブリティの装いや、彼らの服のデザイナーおよびブランドにランキングをつけている。
ファッションランキングに入ることがスタイルアイコンになるための登竜門であるのなら、ワーストファッションとしてメディアに取り上げられることは、レッドカーペットを歩きファッション誌の一方的な趣味で評価されるという強大なストレスにさらされているクリエイターやセレブリティにとって逆の結果を意味する。
企画者側からすれば、こうしたベストドレッサーランキングランキングはちょっとした面白い企画なのかも知れないし、前述の雑誌で言えば、センスのいいユーモアの一つでやっていることはわかる。しかし、スタイルというものが個人のアイデンティティのように主観的でパーソナルなものである以上、著名人のファッションを称賛し、格付けするのは、時代遅れのような感じがしてならない。