綿混紡生地のリサイクル、繊維業界の新常識なるか〜繊維廃棄の半分占める素材に挑む
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多くのアパレル企業がリサイクルや循環型ファッションを中期目標に掲げる中、綿混紡生地などの複合素材のリサイクルはほとんど進んでいない。綿混紡生地はその安価なコストや耐久性からファストファッションで多く使われている繊維で、最も環境負荷の高い素材の一つとされている。
米バージニア州でバイオ燃料および繊維のリサイクルに取り組むスタートアップのサーク社(Circ)は、ファッション業界が高く依存するバージン綿混紡生地の問題に挑んでいる。綿混紡生地は生産コストが安いが、廃棄されると分解がほぼ不可能に近い。その上、世界の廃棄繊維製品の半分を占める。
世界の廃棄繊維の半分を占める綿混紡生地
プラスチックやポリエステルは化学繊維同士を混ぜ合わせたものであればリサイクルできるが、綿のように天然素材と混紡した生地は、組み合わせた両方の品質を維持したまま再生させることが難しい。
先月3000億米ドルの資金調達ラウンドに成功したばかりのサーク社は、廃棄衣料品から新たな繊維製品に使われる原料となる繊維を取り出す新しい技術を開発している。同社によると、新技術は「古い服から新しい服を作る」ことで、製造工程における新たな繊維の使用を削減することができるという。
新技術ではリサイクルおよび革新的な化学を合わせることで、水・圧力・化学の力を応用し、天然素材と人工素材を分離することが可能になる。
すでに「ザラ(ZARA)」の親会社のインディテックスや「パタゴニア(PATAGONIA)」と協働しており、これら企業の製品要件に合わせて綿やポリエステル、綿混紡生地のリサイクルが進んでいる。
同社の技術は資源の再利用を推進することで廃棄繊維品を無くし、新たに生成される原料を一切必要とせずサステナブルでサーキュラーな衣料品を作るための認証を受けた製造工程を構築することを狙いとしている。そのための目標の一つとして、同社は2030年までに世界のアパレル市場の10%を占める100億点の衣料品をリサイクルすることを掲げており、達成されれば1億本以上の木の保全に相当する環境効果が得られるとしている。