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大手アパレル企業が繊維廃棄物の包括的管理システム開発に向けて協働へ

By Don-Alvin Adegeest

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ファッション

Image: Textile waste via Unsplash

世界で排出されている温室効果ガスのうち10%が繊維産業によるものといわれ、ファッションの環境への影響が懸念される中、アパレル産業が岐路に立たされている。

こうした業界の共通課題への対応として、このほどアディダス(Adidas)、ベストセラー(Bestseller)、C&A、H&Mグループ、インディテックス(Inditex)、VF インターナショナルの6社はオランダ発の業界団体「Policy Hub – Circularity for Apparel & Footwear(ポリシー・ハブ−サーキュラリティー・フォー・アパレル・アンド・フットウエア、以下、ポリシー・ハブ)とコンサルティング会社のユーロマニア・リサーチ&コンサルティング社(Eunomia Research & Consulting、以下ユーロマニア社)」と連携し、包括的な繊維廃棄物管理システムの開発を進めるイニシアチブを立ち上げた。イニシアチブは最終的に環境汚染を低減させるとともに、欧州連合(EU)域内の繊維産業の循環化を支援することを目的にしているという。

現在欧州では環境負荷に占める繊維廃棄物の割合が食品、住宅、交通に次いで高い。そのため、ポシリー・ハブは繊維製品の循環化を促し、寿命を終えた繊維製品の廃棄や埋め立て、焼却処理を最小限に抑えた処理方法を実現することの重要性を訴えている。

カーボンフットプリントの多い繊維製品

今回の取り組みは、EUが導入する「拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility;EPR、生産者が廃棄を含めた製品のライフサイクル全体における環境負荷に対して一定の責任を負うとした制度)」の枠組み全体における廃棄物管理方法の統一化とその実施を軸としている。製品や原料の循環を回すことを目的に、寿命の終わった製品の管理について生産者がその金銭的責任を負うことを明確化したEPRは、「汚染者負担の原則(polluter pays principle)」を体現するものとして繊維品廃棄管理の礎石となっている。

循環型社会に関しての知見を持つユーロマニア社は昨今、こうした動きにおけるEPRの役割についてのレポートを発行した。レポートでは拡大生産者責任を負う生産者の定義の標準化を含むいくつかの推奨を提案している。さらに明確なガイダンスの作成を通じ、業界関係者が各自の責任を十分に理解し、具体的な施策の充実につなげるとともに企業の事務的負担軽減を図ることの重要性についても触れている。

サステナビリティは企画段階から始まっている

一方で、サステナビリティの取り組みは商品寿命の最終地点に限定されるものではない。ポリシー・ハブはこの点について「すべては商品設計から始まる」と言い、商品を企画する段階でどのような原料や製造方法を選択するかが商品の環境負荷に大きく影響することを説明している。さらによりリサイクルしやすい商品設計や温室効果ガス排出量、化学物使用、製造工程での廃棄物等の監視といった企業の活動に対するインセンティブの必要性も指摘している。

ポリシー・ハブのベント・バウアー(Bente Bauer)パブリックアフェアーズ部長は、企業が取り組みの足並みを揃えて、できる限りアプローチを統一させていくことが重要だと話す。そうすることで個々の企業に対する負担を減らすことにつながるだけでなく、一つの産業として効率的に変革を推進することができるからだ。「アパレル業界は、サステナビリティを“話し合い”から“アクション”にしていかなければならない。ユーロマニア社のレポートはアパレル業界向けにEPRの枠組みの重要な要素をまとめており、大変有益な舵取りになっている」と同氏はコメントしている。

繊維製品のサーキュラリティーや環境負荷の低減を実現するために最も効果的な方法を見出すため、業界と政策決定者、非政府団体(NGO)が結束し、共に働き、意思決定をする時が、今来ている。

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