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中国スポーツウエア市場、鍵は「インフルエンサー」と「コラボ」

By Regina Henkel

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ファッション

Collaboration with South African queer designer Rich Mnisi. Credit: Adidas Pride Shot

ファッションやビューティー業界関連のデータ分析を行う仏の[千杉1] ローンチメトリックス社(Launchmetrics)がこのほど、近年ファッションやライフスタイル業界の成長を牽引するスポーツウエア市場の最新事情ついてレポート「Sportswear Insights(スポーツウエア・インサイツ)」を発表した。スポーツウエアに特化したものとしては同社初となる。レポートでは、変化の激しい今日の消費動向におけるスポーツウエア業界の変革や重要性に焦点を当てるため、業界を取り巻く主要トレンド、インフルエンシャル・ボイス(情報発信元)、および成功に向けたブランド戦略のあり方について検証している。

急成長するスポーツウエア市場

世界のスポーツウエア市場[千杉2] はここ数年大きく成長している。ローンチメトリックス社によると、2022年の市場は1,859億米ドルに達した上、2032年には3,560億米ドルに拡大する見通しであるという。成長要因としてはさまざまな理由が考えられるが、一つには、新型コロナのパンデミックにより消費者の健康意識が高まり、スポーツ関係の支出が増加していることや、ファッショントレンドとしてアスリージャー・スタイルが人気となり、日常的にスポーツウエアを着用する習慣が定着してきたことなどがある。また、機能性や着心地を追求する商品が登場し、世界的に市場を後押ししている。

中国でMIVが52%上昇

ローンチメトリックス社はブランド各社のマーケティング施策の洞察を得る一つの指標として、「MIV(Media Impact Value、メディア・インパクト・バリュー)」を算出している。MIVはファッション・ライフスタイル・ビューティー関連の編集記事やソーシャルメディア等でのブランド名の言及についてその投資効果をローンチメトリックス社独自のアルゴリズムを使って数値化したものである。今回のレポート作成にあたり、ローンチメトリックス社がスポーツウエアに関するMIVを地域別に算出した。

その結果、2021年のMIVの首位は米州の25億米ドルで、次いでEMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)が21億米ドル、中国は12億米ドルであったが、しかし2022年では世界的にスポーツウエアのMIVが上昇。米州で前年7%増、EMEAで4%増となったほか、中国では52%増と躍進し、スポーツウエア市場は世界的に拡大していることが見て取れる。

MIVの発信元、中国は「インフルエンサー」が最大に

地域ごとに影響力のあるメディアの種類にも違いが見られている。レポートで世界のスポーツウエア市場の「ボイス(MIVの発信元)」の種類についても調査したところ、中国ではMIVで最も重要なボイスは「インフルエンサー」という結果となり、消費者行動やブランド選択、スポーツウエア商品の全体的な訴求において「インフルサー」の情報発信が大きな影響を与えていることが判明した。なお、中国以外の地域でMIVの最も重要なボイスはメディアであった。

スポーツウエアの将来展望

一方、施策別ではコラボレーションが特にMIVに好影響をもたらしていることがわかった。例えば「アディダス(ADIDAS)」と「グッチ(GUCCI)」のコラボレーションコレクションは、2022年に9650万米ドルを売り上げた。今後もコラボレーションは投資効果の最大化や幅広いブランド認知の獲得、新規顧客の開拓において重要な施策になっていくと思われる。

さらに、インクルーシビティや女性支援など、男性中心だった市場から多様な消費者へのリーチに注力するブランドも成長している。企業がダイバーシティを重視する方針を打ち出すことで、消費者の共感を呼んだり、ブランドロイヤリティを高めることができるという。

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