「ドルチェ&ガッバーナ」創業者がシシリアの若者に喝!「仕事に行け」
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何かと失言で騒動を起こしている「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE & GABBANA)」の創業者の一人でデザイナーのドメニコ・ドルチェ(Domenico Dolce)氏が、これまでとは違う理由でその発言が話題となっている。今回の矛先は、先般訪問したシシリアの若者世代。ドルチェ氏は彼らを、“ふらふらして怠け者”と非難したのだ。
ことの発端は、ドルチェ氏の生まれ故郷であるシシリア島ポリッツィ・ジェネローザでの写真展の開幕と、彼の65歳の誕生パーティー。同氏は自ら運営する現地の文化財団でボランティアをする若者がいないことを受け、“刺繍などの手芸や(現地の主要な農作物の)豆の栽培を学ぶべきだ”と、彼らに対し苦言を呈した。
熱のこもったスピーチでドルチェ氏は、「我々の親たちは(働きに出るため)朝5時に起床したものだが、今では町はひっそり静まり返っている」と訴えた。「州や制度や市長を責められない。“我々”が制度だからだ。現代の若者にはプライドがない。彼らは私が彼らのために何もしてくれないというが、自分は18歳のときにスーツケース一つでミラノへ向かった。若者たちよ、ピーナツや豆を作るか、刺繍を習いたまえ。だれも何もしなければ、町の発展など期待できるわけがない」(Italy24 Newsより)
こうしたドルチェ氏の主張は、イタリアにおける経済状況にも深く通ずる。2022年のイタリアにおける若者の失業率はほぼ24%であったが、一部の地方では40%近くに上ったという。国家全体で見ればパンデミックの最中の29.71%よりは改善が見られるが、ヨーロッパで第3位の失業率という中で、職を求めてイタリアから他国に移住する若者も少なくない。加えて、イタリアの中小企業のうち80%が家族経営であるため、若者世代にとって企業に入りキャリアアップを阻む障壁になっている。
しかしながら、今回のドルチェ氏の発言は、若者世代に対する一般論ともいえるかもしれない。ある現地の専門家はFacebookでドルチェ氏の主張について、“贅沢な暮らしや名声、機会を得た頂点に立つ人物ならではの観測に基づく閉鎖的な考え方だ”と指摘している。