大胆なスタイルと影響力。ピッティ・ウオモに現れる“クジャク”達の正体。
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イタリア・フィレンツエで9日開幕した「ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMAGINE UOMO、以下、ピッティ・ウオモ)」の初日、会場となったバッソ要塞(Fortezza da Basso)に、「ピッティ・ウオモ・ピーコック(ピッティ・ウオモの孔雀)」と呼ばれる男達が大勢現れた。メンズファッションのカレンダーの始まりを告げるメンズ見本市は数十年にわたり、イタリアの発展と成長を牽引してきたイノベーションの証として、クラシックなファッションブランドの最新作を披露してきたほか、海外からも数々の若手デザイナーや小規模レーベルが参加し、ショーを開催している。
「ピッティ・ウオモ・ピーコック」とは、そうした国際的ファッションの祭典に観客として参加する、大胆で華美、時にエキセントリックなファッションを身に纏った流行に敏感かつ派手好きな男達を指す造語として生まれた。色鮮やかな羽を広げる孔雀に例えたものだが、ブランドのなかにはモデルを雇い、自社商品を着て「ピッティ・ウオモ」に参加させて、話題づくりはもとよりパパラッチに一枚パシッと写真を撮らせるという芸当を仕掛けるところもあるという。
この「クジャク」達は、ただの観客ではない。彼らはファッションに関するインフルエンサー、ブロガー、エディター、バイヤー、あるいは業界内部に精通した人間として、「ピッティ・ウオモ」を活用し、そのファッションセンスを強くアピールしているのだ。近年彼らは、「ピッティ・ウオモ」にとって特別でなくてはならない存在であり、参加ブランドやデザイナーとは別の楽しみをイベントに提供しているのだ。
開幕日、「ピッティ・ウオモ」にはイタリア国外から多くのバイヤー、ブランド、小売、スタイリスト、プレスが訪れ、ミラノやパリといった著名なファッションウィークに匹敵するビジネスイベントの雰囲気が会場に漂っていた。
実際、「ピッティ・ウオモ」は売上こそ正確には開示されていないが、大きな経済活動の機会であることが知られている。催しを通じてブランドとデザイナー、小売業者との間で大量注文やコラボレーション、パートナーシップなど無数の商取引が成立し、その経済的影響は目先の売上だけにとどまらず、メディア露出やネットワーキングが長期的なビジネス関係に発展することも珍しくない。
こうした実態が示す通り、「ピッティ・ウオモ」のようなファッション展示会は、ブランドとバイヤーを結び、注文の獲得や業界でのプレゼンス向上を支える場所として、メンズファッション業界の成長において重要な位置付けを占めている。