モスキーノ、あやつり人形劇の2021春夏新作ショーを公開
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新型コロナウイルスの影響が続き、従来のモデルを起用した対面型のランウェイショーの開催はまだ厳しい。そんな中、ファッションブランドはオンライン・パフォーマンスから3Dの“デジタルビレッジ”など独自の代替策を模索し始めている。しかし中でも最もチャーミングで、若干キモカワなアイデアを披露したのは何といっても先週日曜のミラノ・ファッションウィーク2021春夏であやつり人形による新作ショーを披露した「モスキーノ(Moschino)」であろう。
Header 2人形劇ならぬ、「モスキーノ」の’21春夏パペット・ファッションショー
ショーは町のお祭りに訪れたデザイナーのジェレミー・スコット(Jeremy Scott)が、人形劇の中でミニチュアドレスをまとったモデルを操ろうとしているパペット版の自分に出会うというストーリーの短編映画仕立てになっている。「ああ、僕は人形劇が大好きなんだ」と見惚れるジェレミーに、パペット版ジェレミーが「人形劇なんかじゃないぞ、ファッションショーだ!」と一喝し、セットの小さな扉を開くとそこにはパペットになったアナ・ウィンター(Anna Wintour)、ニーナ・ガルシア(Nina Garcia)、エドワード・エニンフル(Edward Enninful)、アンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)、ヴァネッサ・フリードマン(Vanessa Friedman)ら大物ファッション評論家達が勢揃いしているというもの。
モデル(こちらもパペット)は新作コレクション40種に、スタイルに合わせたバッグやハイヒールなどを着けて登場。パペットは『セサミストリート』や『ザ・マペッツ』などで知られる故ジム・ヘンソン(Jim Henson)氏のスタジオで制作されたという。なお、スコットは2011年に公開された映画版『ザ・マペッツ』に登場するミス・ピギーのパペットの衣装をデザインしている。
本作には可愛らしさの影に、どことなく疎外感も漂う。それは多分、「モスキーノ」のショー自体が過去に何度も「モデルや観客が“操られる”人形劇」とファッション評論家達に酷評されてきたからかもしれない。そういう視点で今回のプレゼンテーションをジェレミーと「モスキーノ」のこれまでの全作品と重ねて見ると、彼らは「自分達に貼られた奇妙なレッテルやファッション業界のメカニズムをあえて誇張することで逆に評論家達の注目を浴びる」ことを好むブランドであるという表現がしっくりくる。
「モスキーノ」新作パペットショー画像はこちら:
写真クレジット: Moschino SS21 via Catwalkpictures
本記事の原文はFashionUnited.nl.に掲載されたものです。