2021年秋冬のデニム、ポイントは「快適さ」
loading...
2021年秋冬のデニムトレンドはスキニーが過ぎ去り、ワイドな裾が流行に。パンデミックから1年余り、在宅勤務に慣れた消費者が服選びで快適さを重視するようになったことで、デニム業界にも変化が訪れている。
過去数年間、デニムはパッチワークや実験的なシルエットなどステイトメントのあるルックスが次々に話題となり、ファッションの芸術表現の一つとなっていた。加えて、ウエストを高めにとったハイライズや体にフィットするピッタリデニムも多く見られたが、これらとは対照的なデザインが2021年の最新デニムコレクションのトレンドだ。
2021年秋冬シーズン、デニムは昨年支持された遊び心のあるデザインから一変。ストレートフィットやアースカラーが復活し、落ち着きを取り戻した。
デザイナーのクセニア・シュナイダー(Ksenia Schnaider)はFashionUnitedの取材に対し、「このごろでは消費者は着やすくて、簡単にコーディネートできる服を求めているように感じる」とコメント。そんな彼女が新しいデニムトレンドに挑んだ答えが、「ウェイディング・ブーツ(海釣り用の長靴)」をイメージした「ウェイダー(Wader)」ジーンズ。そのコンセプトについてシュナイダーは、「バギーな(ぶかぶかの)シルエットと腰部分のフィット感の両方を兼ね揃え、スタイル・着心地・見栄えとジーンズに必要なすべてを与える」と話す。
デニムブランド各社、新たな消費者ニーズに適応
「DL 1961」は、消費者の間で在宅勤務が普及したことを受けてリュクス(贅沢)なアスリージャースタイルを追求。上質なフレンチテリーなどの素材を使用し、テイラードのフィットや着心地の良さを出している。
「DL 1961」のサラ・アフマドCOOは、「21年秋の新作デザインにあたり、消費者がリモートワークにより家で仕事をするようになったことなどから、着心地の良いデニムへと市場のニーズがシフトしていることに気づいた」といい、同ブランドの新デニムラインではストレートフィットや着やすいアイテムを中心に、アースカラー、緑やブラウン系カラー、ライトウォッシュ、単色グレーや黒など秋らしいカラーパレットのデニムを取り揃えていると説明している。
しかし一方で、今秋のトレンドにはレトロなスタイルからのインスピレーションも引き続き反映されている。
「僕の意見では、最新トレンドで最も際立つのは“快適さ”と“スタイル”の間のちょうど中間地点を追求しているという部分。タイトで動きを妨げるようなシルエットは敬遠されている。90年代のオマージュともいえるルーズなフィットが前面に押し出されている」。そう指摘するのは「ワープ・アンド・ウエフト(Warp + Weft)」のデニムデザイナー、ジェームス・オー。
昨年は裾の細いテーパードのほか、ブーツカットも徐々に人気が戻り、デニムトレンドは70年代や80年代のシルエットがトレンドとなっていた。オーによると、これらのトレンドはまだ残りつつ、2021年では快適さを踏まえて発展していくという。
「新型コロナ・ワクチンができたおかげで、パンデミックで短命に終わってしまった2020年のトレンドが2021年に健康的なソーシャルライフを再び体験したいという希望として再現されている」とオー。「トレンドは消費者の着心地のよいスタイルへのニーズに応えようとしている」。
画像提供:DL 1961 & Warp + Weft