パリ・オートクチュール2022年春夏コレクション開催、現代の職人技光る
loading...
パリ・オートクチュール2022年春夏コレクションがこのほど閉幕した。従来の華やかな演出は控え、各メゾンの職人の技に焦点を当てた今回のコレクションのハイライトを紹介する。
「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」
特に度肝を抜いたのは「スキャパレリ」の米国人デザイナー、ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)による黒と白、ゴールドのカラーパレットを使った官能的な一着。彫刻のようなボディスや帽子、オーバーサイズのジュエリーなど、ローズベリーの想像力には限りがない。
「クリスチャン ディオール(CHRISTIAN DIOR)」
今シーズン、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri) はフェミニストの主張をトーンダウンし、コラボレーションしたパートナーの優れた人間性や、アトリエを支える職人に注目。精巧な刺繍が特徴的なドレスやソックス、靴は、「クリスチャン ディオール」のオートクチュールを手に取り身に着けることができる客を魅了するだろう。
「シャネル(CHANEL)」
モナコ公妃グレース・ケリーの孫娘で馬術選手のシャーロット・カシラギが「シャネル」のシグネチャーであるテイラード・ジャケットを着て実物の馬に乗りランウェイを活歩。その姿はおそらく今期のパリ・オートクチュール・コレクション最大の見ものであったのではないか。この他にもフェザーやツイード素材、青色で展開したジャケットに加え、チェック柄やストライプ、ブークレのジャケットドレスも登場した。
「ヴァレンティノ(VALENTINO)」
「ヴァレンティノ」としては最もインクルーシブなキャスティングを試みたショーで、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)クリエイティブディレクターはこれまでオートクチュールでは目にすることのない体型のモデルを起用。同氏はショーのプレビューで『ヴォーグ』に、「オートクチュールではこうした体型を見ることはなかった」とコメントし、「コードは変えず、価値観を変える」ことでファッションの基本概念を問い直した。
「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」
オランダ発のデザイナーデュオ、「ヴィクター&ロルフ」はアダムス・ファミリーに出てきそうな新作でその優れた技術力を発揮。コルセットでネックラインやショルダーラインを高くするという手法を使ったシルエットは、ブランド設立のきっかけとなった1993年の南仏イェールのヨーロッパ新人デザイナーコンテストで披露された二人の初のコレクションを彷彿とさせる。