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キャットウォーク・レポート:咲き誇る、パントン2023年春夏トレンドカラー

By Rachel Douglass

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ファッション

SS23 Collections. (From left) Image: Erdem, Etro, Roksanda

世界の色見本を提供するパントン(Pantone)は、シーズンごとにランウェイ・コレクションやファッション業界で人気が出ると予想されるトレンドカラーの予測を発表している。

そのパントンが2023年春夏シーズンのキーカラーとして選んだメインのカラー・パレットは実験的・個性的な表現を後押しする一方、中間色系の色を取り揃えた「ニュー・クラシックス(New Classics)」については、安定を象徴する“ultra-calm(究極の静けさ)”なカラーで構成されている。また、それぞれの色は新しく迎えるシーズンの時代背景や、過去数年間が色という関係性をどう変えたかを反映している。

本誌では、こうしたパントンの2023年春夏ファッションのトレンドカラーを、ブランド各社の新作ランウェイ・ショーを通して深堀していく。

2023年春夏カラー・パレット(SS23 Colour Palette)

フィアリー・レッド(Fiery Red)

SS23 Collections. (From left) Image: Givenchy, Salvatore Ferragamo, Schiaparelli

一般的な赤とは異なる「フィアリー・レッド」は、エネルギーに満ち溢れた強さを持ち、どんなファッションアイテムでもすぐに目に飛び込む効果を演出することができる。ランウェイでは、モデルのシルエットに巻き付くような緩やかなフォルムの美しいロングドレスで多く取り入れられている。

ビートルート・パープル(Beetroot Purple)

SS23 Collections. (From left) Image: Chloé, Rochas, Harris Reed

パントンが“元気のいいフクシア”と説明する「ビートルート・パープル」は、自然の実りを表現した色。その印象深い色合いは、「ハリス リード(HARRIS REED)」のジェンダー流動的な新作で発表された帽子とガウンの組み合わせをはじめとする色に負けないくらい印象的なデザインとなってランウェイを彩った。

タンジェロ(Tangelo)

SS23 Collections. (From left) Image: Christian Wijnants, Bottega Veneta, Marni

典型的なオレンジのアンダートーンからシフトし、ほんのりとした赤味を感じる柑橘系の「タンジェロ」。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」からはロー・ウエストのドレス&フェザーのアンダースカートなど、「タンジェロ」の力強い色合いが多様な大胆なデザインになって登場。

ピーチ・ピンク(Peach Pink)

SS23 Collections. (From left) Image: Erdem, Issey Miyake, Rabens Saloner

昨年人気となったパントンの「コーラル・ローズ(Coral Rose)」の進化系「ピーチ・ピンク」は、服に控えめなのになぜか惹きつけられる魅力を与える。母親のように包み込む暖かさのある「ピーチ・ピンク」は、トロピカルなピーチカラーの代替色としてぴったりとしたデザインからオーバーサイズのデサインまで幅広く取り入れられた。

エンパイア・イエロー(Empire Yellow)

SS23 Collections. (From left) Image: Raf Simons, Erdem, Royal Danish Academy

人々に大胆になってほしいとの願いを込めて選ばれた、視線を奪う鮮やかな黄色系のカラー。フロア丈のドレスや単体でも存在感のあるアクセサリーなど、歓びを放つ「エンパイア・イエロー」を使ったアイテムは今後注目を集めること間違いなし。

ブルー・ペレニアル(Blue Perennial)

SS23 Collections. (From left) Image: Diesel, Halpern, Fendi

鮮やかな色合いが多いカラー・パレットのなかでもより落ち着いた青系の「ブルー・ペレニアル」だが、パントンによるとパレットの印象を高める“際立つ青”だという。ブランド各社では極めてシンプルなデザインでさえちょっと変わったアクセントを与えることができる色として受け入れられているよう。「ディーゼル(DIESEL)」では肌にぴったりつく超薄のミニドレスで、グラデーション効果を入れて使用。

クラシック・グリーン(Classic Green)

SS23 Collections. (From left) Image: Etro, Akris, Chet Lo

パントンが“実験的な表現”を後押しする色として選んだ「クラシック・グリーン」は、組み合わせによって強いコントラストを出すことができる大胆な緑系カラー。栄養を与える色として、健康的な印象を出すことができるこの色は、特に夏のファッションで頭からつま先まで多くのアイテムで人気になりそうだ。

クリスタル・ローズ(Crystal Rose)

SS23 Collections. (From left) Image: Ermanno Scervino, Craig Green, Vetements

「ビートルート・パープル」とは対照的なソフトな色合いの、 “現代のロマンスを表現する色”(パントン)、「クリスタル・ローズ」。ふわっとした軽やかな生地の色として人気だが、立体的なデザインや「ヴェトモン(VETEMENTS)」の3ピース・スーツのようなテイラードのスタイルでも使われている。

ラブ・バード(Love Bird)

SS23 Collections. (From left) Image: Michael Kors, Victoria Beckham, Gestuz

2022年秋冬シーズンにも登場して人気となったが、2023春夏ファッションウィークシーズンでは多くのランウェイを席巻し、シーズンを象徴する“it(イット)”カラーに。異国情緒を感じさせる緑系のカラーは最新のサマーファッションにすっかり溶け込み、多くのブランドでこの活気溢れる色合いがロング丈のデザインなどにお目見えした。

「サマー・ソング(Summer Song)」

SS23 Collections. (From left) Image: Diesel, Prada, Marni

パントンの他のカラーとは対照的な、安らぎや穏やかさをテーマとした色、「サマー・ソング」。ランウェイではダメージド・デニムや光沢感のある人工レザーと言った異なる素材で作られたロング丈のコートにこの色が登場している。

ニュー・クラシックス(New Classics)

スカイライト(Skylight)

SS23 Collections. (From left) Image: Christopher Kane, Lanvin, Roksanda

フレアなガウンや装飾たっぷりのドレスといったイブニングドレスのトレンドカラーとして注目される「スカイライト」。「ランバン(LANVIN)」のシルエットを誇張し大胆な構造を中心とした新作コレクションでは、特にプリーツのルックスでこの色の使用が目立った。

「バニラ・クリーム(Vanilla Cream)」

SS23 Collections. (From left) Image: Simone Rocha, Chanel, Craig Green

クリーミーなトーンの「バニラ・クリーム」は、フェミニンなデザインで多く見られた。この色を使った「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」のフリルたっぷりのイブニングドレスや「シャネル(CHANEL)」の定番のツイードスタイルは、いずれもブランドの伝統的なエッセンスを踏襲。また、「クレイグ グリーン(CRAIG GREEN)」がこの色を全身に取り入れたオフィスウエアのルックスを発表するなど、メンズウエアでもより大胆な色使いとして用いられている。

「グレー・ライラック(Gray Lilac)」

SS23 Collections. (From left) Image: Loewe, Miu Miu, Baum und Pferdgarten

その名の通り灰色にライラックを混ぜたような色味の「グレー・ライラック」はスタイリッシュなオフィスウエアのカラーとして選ばれるケースが目立った。“dreamy(夢のような)”で“空気のよう”な色が、ゆったりしたフィット感のブレザーや襟付きミニドレスなどのお仕事着に明るさをプラス。

「リーク・グリーン(Leek Green)」

SS23 Collections. (From left) Image: Givenchy, Miu Miu, (di) vision

カーキの代替色の「リーク・グリーン」は、より植物っぽい色味を感じさせるグレー系のカラー。ランウェイでは「ミュウミュウ(MIU MIU)」のミリタリー・ワークウエアのほか、ユティリティースタイルのデザインで使われた。

「マキアート(Macchiato)」

SS23 Collections. (From left) Image: Sacai, Fendi, Hermès

いわゆるコーヒー系のダークな色合いとは一線を画す、“うっすらとした泡の層と合わさった、美味しい茶色”(パントン)の色味、「マキアート」。2023年春夏コレクションでは特にアウターウェアで頻繁に採用。「エルメス(HERMÈS)」では、形を崩したケープや、レザーのような風合いの素材でダイナミックなシルエットに仕上げたコートが「マキアート」で登場した。

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