2023年秋冬パリファッションウィーク：4つのキー・トレンド

世界各地で開催されるファッションウィーク。例年その最終地となるパリは、すべてのファッションウィークの中でも最も重要となる催しだ。デザイナーたちが改めて伝統的なテーラリングに敬意を表した2023年秋冬シーズンのパリファッションウィークに見る4つのキー・トレンドは、いずれもオートクチュールの要素を含むとともに、体型を強調するスタイルにフォーカスしている。

ギリシャからのインスピレーション

フランスのクチュリエ、マダム・グレ（Madame Grès）が考案したというギリシャ神話の女神の衣装のようなジャージ素材のグレシアン・ドレープガウン。その波打つようなシルエットは女性の体型を引き立て、現代でも人気だ。パリファッションウィークでは、超グラマラスなデザインが多数お目見えした。

「アトライン（ATLEIN）」 Look 15

アントニン・トロン（Antonin Tron）が手がけた、伸縮性のあるジャージ素材を使ったオリーブカラーのオフショルダー・トップと、ライラックのサテン素材のドレープスカート。スカートの丈はフロアに着くほど長めに仕上げている。白いタイツ&サンダルと合わせて。

「ランバン（LANVIN）」 Look 41

ブルーノ・シアレッリ（Bruno Sialelli）は、アシンメトリーな肩のラインとメタルのディティールが特徴的なティールのガウンを披露。ウエスト部分にドレープが入っている。足元を飾る黒のブーツは、表面にハート型のスタッズを散りばめた。

「ロク（ROKH）」 Look 18

ヌードカラーのジャージ・シャーリングドレス。フロアレングス。ノット（生地の結び目）を使って女性らしさを最大限に引き出すのが、ロク・ファン（Rok Hwang）流。ゴールドのジュエリーと茶色のトートバッグでルックスを完成。

ボールドなショルダーライン

パリのランウェイはテイラードのスーツが席巻。ジャケットでは1980年代の“パワー・ドレッシング”を彷彿とせる、ボールドなショルダーラインの男性的なスタイルが全体的に目立った。

「バレンシアガ（BALENCIAGA）」 Look 11

デムナ（Demna）による、肩周りを広くしたグレーの格子柄ダブルブレザー&ニッカーボッカーと、黒いソックス・ブーツ。

「サンローラン（SAINT LAURENT）」 Look 6

アンソニー・ヴァカレロ（Anthony Vacarello）は、白いジャケットに胸元が大きく開いたスクープネック・シャツ、黒いレザー・ストレートスカートを発表。こちらのジャケットも肩周りが大きめのデザインになっている。アクセサリーは、シルバーのフープイアリング、サングラス、黒いストッキング、ポインテッド・トウのアンクル・ストラップシューズなど。

「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド（ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD）」 Look 20

黒・グレー・赤の3色を使ったチェック柄のワイドショルダー・ブルゾン&キルト。足元は黄色と赤のプリントが入ったレギンスと、「ヴィヴィアン・ウェストウッド」のクラシックな厚底シューズでまとめている。

ディストレスト・ニット

近年再び注目を集める、1990年代頃のマルタン・マルジェラ（Martin Margiela）の作品に遡る形を崩して裂け目などのダメージ加工を施したディストレスト・ニット。今回のパリファッションウィークでも共通のテーマとして多くのコレクションに登場した。

「アクネ ストゥディオズ（ACNE STUDIOS）」 Look 29

ジョニー・ヨハンソン（Jonny Johansson）は丈をフロアレングスに仕上げたモスグリーンのフロアレングス・ディコンストラクテッド・ニットスリップドレスを発表。表面にクロシェ編みの花や細長い紐の装飾を施している。同素材でサンダルも展開。

「オフ-ホワイト（OFF-WHITE）」Look 24

オレンジ・緑・茶色の色使いが目に鮮やかな、イブラヒム・カマラ（Ibrahim Kamara）の新作ニットは、はしご編みのジップアップのタートルネック・ジャケット、パンツ、チュニックの3ピース・セット。黄色のリザード・ブーツ&バッグと一緒にスタイリング。

「アレキサンダー・マックイーン（ALEXANDER MCQUEEN）」 Look 34

サラ・バートン（Sarah Burton）は、白のケーブルニット・ドレスのフロント部分を編み紐を使ってディコンストラクテッドな雰囲気に。肩部分を膨らませて強調し、ウエストには切り込みを入れている。アクセサリーはサイズの大きなシルバーのイアリング、黒のアンクルストラップサンダルなどを使用。

レディーライク

3年におよぶ在宅ワーク・スタイルへの対抗からか、今シーズンのファッションウィークではレディーライクなプレタポルテも目立った。中でも長年愛される「シャネル（CHANEL）」のツイードやブークレにインスピレーションを受けたと思われルックスが印象的であった。

「クロエ（CHLOE）」 Look 30

ガブリエラ・ハースト（Gabriela Hearst）の2ピース。クリームカラーのブークレのノーカラー・ジャケットは襟元に入ったゴールドのボタンがワンポイントに。スカートはストレート&ミディアム丈。ジャケット、スカートともに裾は断ち切り仕上げとなっている。茶色のペブルレザー・サッチェルと黒の厚底ブーツでコーディネート。

「クリスチャン ディオール（CHRISTIAN DIOR）」 Look 6

マリア・グラツィア・キウリ（Maria Grazia Chiuri）の新作コレクションからは、1950年代の「クリスチャン ディオール」を彷彿とさせる黒白の千鳥格子模様の2ピースが登場。四つボタンのジャケットは丈を短めに切り上げ、ミッドレングスのペンシルスカートと合わせている。アクセサリーは、黒のソックス、スペクテーター・メリージェーンなど。

「ジャンバティスタ ヴァリ（GIAMBATTISTA VALLI）」 Look 5

黒と白のツイード・オーバーサイズドコートとミニドレス。ゴールドの糸を使った繊細な刺繍が印象的。アクセサリーは黒のタイツとポインテッド・トウのバックストラップシューズ。