2024年秋冬キー・トレンド:魅惑のブドワール・ドレス
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「流行は繰り返される」という言葉は、2024年秋冬ランウェイシーズンを表すに相応しい。世界各地のファッションウィークでは多くのデザイナーが1920年代や1930年代を振り返り、黒・オークル・ペールピンク・ピーチ・アイボリーといった色味で展開したコルセットやレースなどシースルー素材のランジェリーを発表した。それはまさに「淑女の寝室」というフランス語を語源とする“ブドワール”を彷彿とさせるスタイリッシュなルックスだ。
ブドワールのトレンドは、特に米国とヨーロッパで再燃している。今年4月には、NYのブロードウェイでミュージカル『キャバレー』の再演が決まっている。ナチスの脅威が迫る1930年代ドイツのキャバレーで繰り広げられる、妖艶なナイトライフをテーマにした物語だ。エディ・レッドメイン(Eddie Redmayne)やゲイル・ランキン(Gayle Rankin)らが務めるキャストたちが身に纏う衣装に映し出されるのは、淫らな夜の世界。変わってドイツでは、ファシズムが勢力を増す1920年代ドイツに実在した伝説のナイトクラブを当時の歴史的映像とともに描いたドキュメンタリー映画『エルドラド ナチスが憎んだ自由(原題:Eldorado: Everything the Nazis Hate)』が2023年に製作されている。
世界各地で注目を浴びるセクシーなブドワール・ルック。ブランド各社の展開を画像で解説していく。
シースルー素材のレイヤード・スタイル
透け感のある生地を重ねたシースルールックは、ここ最近のメジャーなトレンド。人気の理由は、セレブリティーの影響に加えて、自分のありのままの身体を愛するという「ボディー・ポジティビティー」が社会的に広まったことであるとファッション評論家は分析する。一方で、米国では見た目を気にするあまりに、減量目的で糖尿病治療薬「オゼンピック」を使用するケースが増えているという。
フェザー&ファー
デザイナー、アーデム・モラリオグル(Erdem Moralioglu)率いる「アーデム(ERDEM)」の2024年秋冬コレクションは、ギリシャのオペラ歌手マリア・カラス(Maria Callas)へのトリビュートとして、彼女の舞台衣装や私服に焦点を当てた。また、マイケル・コース(Michael Kors)は最新作で1930年代の祖父母の写真をインスピレーションに使用している。
コルセット
1930年代、コルセットは文字通りファッションの下地を築いていた。
ランジェリー
昨今のランウェイでは、ルックス作りの必須要素としてランジェリーを取り入れるのが定番に。2024年秋冬ももちろん、例外ではない。
レオパードプリント
ブドワールと一緒に組み込まれることが多い、「モブ・ワイフ」スタイル。レオパードプリントは共通のアイコンだ。
ル・スモーキング
イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)は、1966年に女性のためのタキシードスタイル「ル・スモーキング」を発表した。一見、ブドワールとは対極にありそうなタキシードだが、サンローランは「スーツを着た女性は、決して男まさりなどではない。完璧ですっきりとしたカッティングは、女性らしさや魅力、両義性を引き出してくれる」と語っている。