2025年、輝きを失いつつあるラグジュアリーを問う

2025年がファッション史において記憶されるとすれば、それはラグジュアリーブランドが「ラグジュアリー」という概念への信仰が無限ではないと悟った年としてであろう。10年以上にわたる絶え間ない成長、価格高騰、そして relentless（執拗）な「新しさ」の追求の末、ラグジュアリーメゾンと顧客との間にあった信頼関係はほころび始めた。工場やマーケティングをめぐるスキャンダル、目まぐるしく入れ替わるクリエイティブ・ディレクター、そして疲労感を誘うほどのコレクションの乱発、そのすべてが要因となった。しかし、より根本的な要因は、2025年が消費者の反発が顕在化した年であったことだ。

これはラグジュアリーそのものの否定ではない。愚か者として扱われることへの拒絶であった。

長年にわたり、価格上昇は、原材料費の高騰、クラフトマンシップ、ブランドの伝統、インフレーションといった、おなじみの理屈で正当化されてきた。しかし、その数字は次第に実態と乖離していった。HSBCおよびバーンスタインの分析によれば、2019年から2024年の間に、主要ラグジュアリーブランドは中核となるレザーグッズの価格を推定50～70%引き上げた。かつて憧れのラグジュアリーの象徴であったシャネルのクラシック フラップバッグは、この10年で価格が2倍以上に高騰した。一方、ユーロスタット（EU統計局）のデータによれば、同期間におけるEUの製造業の人件費上昇率は約20%であり、大幅な上昇ではあるものの、価格上昇率とは到底見合うものではなかった。

消費者の反発

その結果、生じたのは認知的不協和である。冬のコートがダイニングチェア一式より高く、ハンドバッグが家族旅行の費用に匹敵し、靴一足が月々の住宅ローン返済額と等しくなるとき、消費者が「自分は一体何にお金を払っているのか？」と自問するのは必然である。

2025年、多くの消費者はその答えを「不十分だ」と判断した。

この変化が最も顕著に見られたのは、かつてラグジュアリーブランドが最も依存していた2つの層、すなわちステータスを求める上昇志向の消費者、そして定価で購入する忠実な顧客層であった。生地の調達先の内訳から工場の出荷価格まで、かつてないほど情報へのアクセスが容易になった消費者は、利益率について公然と疑問を呈し始めた。TikTokやRedditといったプラットフォームがコスト構造を解明し、縫製の質、レザーの等級、金具の不具合などをリアルタイムで分析する動画が拡散した。

監視がもたらす影響

そうした厳しい視線は、結果となって表れる。ベイン・アンド・カンパニーによれば、世界の個人向けラグジュアリーグッズ市場は2024年に推定1～3%縮小し、2025年も特に中国および米国で不安定な状況が続いている。同時に、中古ラグジュアリー市場は成長を続け、Vestiaire CollectiveやThe RealRealといったプラットフォームはアクティブユーザー数が2桁増を記録したと報告している。そのメッセージは明確だ。価値が再び重要視されるようになったのである。

しかし、価値とは必ずしも安さを意味するわけではない。リセール市場の活況と並行して現れたのが、高品質な素材、透明性の高い価格設定、そして抑制された利益率を提示する新世代のブランドである。これらのブランドには100年続くアーカイブはないかもしれないが、一貫性を提供し、その一貫性が消費者の共感を呼んでいる。信頼が揺らぐ環境において、信頼性そのものがラグジュアリーとなっているのだ。

同様に重要だったのが、一方的なコミュニケーションの崩壊である。かつてラグジュアリーは、高級雑誌の紙面から、そのイメージだけで欲望を喚起していた。当初、ソーシャルメディアはそのモデルを拡張し、編集者の役割をインフルエンサーが担うようになった。しかし2025年までには、そのパワーバランスは逆転した。インフルエンサー、プライベートクライアント、そして一般消費者が批評家となり、ジッパーの故障、コーティングの剥がれ、期待外れのクラフトマンシップを臆することなく投稿するようになった。

ピアレビューの影響力

InstagramやTikTokは今や、憧れを抱かせるためのツールとしてよりも、説明責任を問うプラットフォームとして機能している。マッキンゼーによれば、Z世代の消費者の70%以上が、ラグジュアリー製品の購入において、ブランドの広告よりもピアレビュー（消費者同士のレビュー）の影響を強く受けると回答している。品質が期待を裏切れば、フィードバックは即座に、そして容赦なく拡散される。

その結果、ラグジュアリーという名のメッキは、ゆっくりと、しかし確実に剥がれ落ちている。一部のメゾンにとって、その輝きは常に表面的なものでしかなかった。ロゴを取り去れば、そこにはラグジュアリーの価格タグが付いた大量生産品と見分けがつかない製品が残る。まるで使い古されて滑らかになった金属のバックルのように、光沢は鈍り、その下にあるものが露わになるのだ。

この厳しい審判は、ラグジュアリーの終わりを意味するものではない。しかし、その再定義を促すシグナルである。2025年、価値が価格を上回り、主要な判断基準となった。クラフトマンシップ、耐久性、誠実さ、そして抑制の効いた姿勢が再び重要性を取り戻した。生き残るのは、最も声高に叫ぶブランドではなく、静かに、一貫して、そして誠実に価値を提供するブランドであろう。